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台風被災の東北中小事業者再起へ 負債や再度の水害リスク、不安との闘い

床上浸水した店の小上がりを大工と一緒に修復する小山さん(右)=7日、丸森町鳥屋

 台風19号で被災した東北の中小・零細事業者が、再起を期して動きだした。店舗や設備、従業員が被害を受け、負債や再度の水害のリスクも抱える。不安と闘いながらも、再開を待つ顧客らの思いを支えに歩を進める。

 宮城県丸森町中心部の日本料理店「桜坂」は12日をめどに、再びのれんを掲げる。店主の小山敏明さん(62)が明かす。「廃業も考えたが、再開を望むお客さんからの電話が頑張る力になった」
 店舗は約1メートル床上浸水した。調理台や冷凍庫などの被害額は少なく見積もって140万円。大工やボランティアの協力も得て、復旧を急いだ。
 桜坂は2015年開業。地元の旬の食材を用いた御膳料理やシンプルな味付けの煮魚が好評で、仙台圏からの利用客も多い。小山さんは「地元の方にも観光客にも料理を味わってほしい」と改めて腕を振るう。
 東京商工リサーチは、河川堤防が決壊した宮城、福島など7県の被災地域(43市郡)に本社を置く企業調査を実施した。計2772社のうち、8割弱を資本金1000万円未満が占める。産業別ではサービス業が最も多く、建設業、製造業、小売業と続く。
 宮城県村田町の運送業「丸孝商事」ではトラック24台が、事務所裏手の川から流れ込んだ水に漬かった。貨物保険は加入していたが、経費がかさむため車両保険には入っていなかった。
 東北と新潟県を営業エリアに、カップ麺やガラス製品などを取引先に運ぶ。同社幹部は「6台は完全にだめになった。残った車両やレンタカーで何とか事業を続けている」と語る。
 本宮市では阿武隈川が氾濫し、中心商店街が被害に遭った。設備会社「小山設備」は事務所と店舗が約2メートル床上浸水し、電気機器や車が被災。被害額は約2000万円に上り、従業員10人のうち2人の自宅も被災した。
 事務所や店舗を片付ける間もなく、被災した住民から給湯器の取り付け工事の依頼が相次ぐ。パソコンなどを買い直し、現地で事業を再開するめどは立ったが、不安は消えない。
 小山宏文社長(43)は「今は目の前のことしか考えられない。防災対策上、長期的には移転も検討しなければならない」と話し、国の支援策を注視する。


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2019年11月12日火曜日


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