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<せんだい進行形>お歳暮商戦スタート 販路開拓狙う 被災企業「商品開発に力」 百貨店「復興を後押し」

石巻の食材を使った商品を説明する学生=11日、藤崎
丸森のブランド米をはじめ、被災地応援の品が並ぶ=6日、仙台三越

 年の瀬恒例のお歳暮商戦が始まった。儀礼文化が全国的に廃れる中、仙台市の百貨店は自宅用や身近な人への贈り物としての需要を取り込もうと工夫する。商品開発力と販路を生かし、東日本大震災や台風19号で被災した地元の食産業を下支えする取り組みも定着しつつある。
 藤崎は14日、本館7階に約1600品を扱うギフトセンターを設けた。今年の注目は3種のだしと石巻産食品のセット。石巻専修大(宮城県石巻市)、宮城学院女子大(仙台市)の学生と考案した商品だ。
 おでん用の魚の練り物、わかめ麺、玄米をパッケージし、石巻を丸ごと味わってもらう。健康志向に合わせ、うま味調味料は使わずに仕上げた。
 開発に携わった石巻専修大4年の石川律さん(21)は「被災した石巻市の食品加工会社と試行錯誤した。産地に足を運んでもらうきっかけになればうれしい」と話す。
 藤崎では、歳暮や中元といったギフトに若者の視点を生かして客層を広げようと、2015年から産学連携の商品開発を採り入れている。特に被災地に焦点を当てた商品が目立ち、年々売り上げを伸ばしている。
 今年はほかにも、宮城大(宮城県大和町)の学生が大崎市の世界農業遺産「大崎耕土」を発信するブランド米「ささ結」、気仙沼高(気仙沼市)の生徒がラベルを考えた唐桑産カキのオリーブオイル漬けが加わった。
 藤崎のギフト商品開発を担う大江田識名(しきな)さん(49)は「震災後はより地元に密着し、宮城・東北に眠る商品を掘り起こしている。ご褒美用としても、地元の食の素晴らしさを感じてほしい」と話す。
 6日から約2000品の受け付けを始めた仙台三越は、台風19号で被災した宮城県丸森町のブランド米「いざ初陣」や、東京電力福島第1原発事故の影響で販路を喪失した南相馬市の漬物製造販売「香の蔵」の商品を前面に出す。
 香の蔵は原発事故で売り上げが半減。定番商品に加えて新規客にアピールしようと、ワインにも合うクリームチーズのみそ漬けを開発した。国の「ふくしまみらいチャレンジ」の支援を受け、初めて県外百貨店にギフト出品した。
 岩井哲也統括マネジャー(48)は「仙台のお客さまに受け入れてもらえるよう仙台みそを使った。歳暮は商品を選ぶ人、贈られる人に知ってもらえる機会。元気な漬物屋として発信したい」と意気込む。

◎藤崎・三越の売り上げ横ばい ネット、自宅用に伸び

 藤崎と仙台三越のお歳暮の売り上げは、近年ほぼ横ばい。笹かまぼこが不動の人気商品で、地元の名産品が贈り物に選ばれる傾向にある。自宅向けの購入やインターネット利用が広がり、両社は施策の充実を図っている。
 仙台三越のギフトセンターに受け付け初日の6日訪れた仙台市青葉区の主婦横山ヤエさん(73)は「千葉県の親戚用にお菓子と笹かまのセットを買った。遠方にいる人とお歳暮を贈り合うことで心を通わせられる」と話した。
 両社の2018年の売り上げ上位は表の通り。藤崎のトップの「仙台小箱」は16種類の名産品から選ぶセット商品。仙台三越も首位は王道の笹かまぼこ。遠方に地元商品を贈ることは全国的にも多いが、「仙台はその傾向が最も強い」(担当者)という。
 仙台三越では16〜18年の売り上げは前年比98〜102%で推移。藤崎の担当者も「ほぼ横ばい」と説明する。近年拡大するネット購入では、仙台三越が14年の1.6倍に増加。藤崎は毎年1割以上増え続けており、限定200品が5%安くなる「ウェブ割」を実施する。
 両社は自宅用商品のカタログを作成。仙台三越は今年、自宅用商品購入で商品券が当たるキャンペーンを実施し、最初の5日間の注文が前年比3割増えた。


2019年11月15日金曜日


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