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住民も団員の命も守る 大崎・鹿島台の消防団、少人数で行動 東日本大震災の教訓生かす

吉田川左岸の堤防上で、台風19号襲来時の消防団の活動を説明する分団長の佐藤さん=大崎市鹿島台

 台風19号で被災した宮城県大崎市鹿島台では、豪雨による浸水被害が広範囲に及ぶ中で、地元の消防団員が避難の呼び掛けや住民の救助に当たった。東日本大震災の津波で沿岸部の団員が犠牲になった教訓を踏まえ、無理な動員をせずに少人数で地域を巡回。団員の安全に配慮した上で、人的被害を防ぐ役割を果たした。
 吉田川に接する志田谷地地区を管轄する分団長の佐藤久一(ひさかず)さん(65)は台風が接近した10月12日夜、強い雨と横風で「全員を招集するのは危険」と判断した。
 あらかじめ、市の担当者らと「災害の状況に応じ少人数で動く。命を守ることを最優先にする」とルールを決めていた。台風の強い勢いに加え、団員の多くが既に避難所にいた。分団長として団員の安全確保を考え、参集規模を抑えた。
 団員22人のうち幹部3人だけで出動し、比較的安全な堤防そばの消防団詰め所でポンプ車のサイレンを鳴らして避難を呼び掛けた。
 多くの団員は1986年の8.5豪雨など大きな水害を経験している。にもかかわらず、今回襲来した台風の猛威は「これほどの雨量は初めて」「視界が5メートルしかなくて怖い」との声が漏れたほどだったという。
 13日午前7時50分、上流側に4キロ離れた宮城県大郷町粕川で堤防が決壊し、地区に濁流が流れ込んだ。佐藤さんは危険を考慮し、幹部を1人加えた4人だけで腰まで水に漬かりながら住民の安否を確認した。
 14日は、団員計3人が古川消防署員や自衛隊員とゴムボートに乗り込むなどし、自宅で身動きがとれない住民の確認や避難を手助けした。2日間で、家屋の2階などに取り残された住民52人が救出された。
 「団員を含め、命を守ることができて安心した」と佐藤さん。「災害の規模に応じた消防団の活動について地区住民と意思疎通を図りながら、改めて自主防災の在り方を考えていきたい」と今後を見据える。
(山並太郎)


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2019年11月15日金曜日


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