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台風襲来、仙台沿岸の津波避難ビルで住民ら一夜 市は使用容認も「目的外」柔軟な活用求める声も

南蒲生地区の一部住民が身を寄せた岡田津波避難ビル。大雨時の活用を求める声もある=仙台市宮城野区

 台風19号が猛威を振るった10月12日、仙台市沿岸部の一部住民は、東日本大震災後に整備された津波避難ビルで一夜を過ごした。避難勧告が出たものの雨脚は強く、避難ビルよりも遠い指定避難所への移動は危険と判断した。市は目的外使用のため今回の行動を推奨しないが、住民は「津波以外でも緊急時に使えると助かる」と話す。
(報道部・横川琴実)

 12日午後1時、市は157カ所の指定避難所を一斉に開設した。約2時間後の午後3時ごろ、宮城野区南蒲生では町内会長の松岡和雄さん(78)が「岡田津波避難ビルに避難したい」と住民から相談されていた。
 同地区の指定避難所は東部復興道路を越えた岡田小だが、避難ビルはその1.5キロほど手前にある。徒歩でしか移動できない高齢者もいるため、最寄りの施設に身を寄せたいという要望だった。
 避難ビルは市と地元町内会がそれぞれ鍵を持つ。施設内には毛布や乾パンなどの非常食、飲料水が1日分ある。松岡さんは市危機管理室に相談。担当者は岡田小への避難が望ましいと言いつつ「緊急であれば」と容認したという。
 午後4時、松岡さんと町内会防災部長の二瓶勝男さん(74)がビルを解錠。雨の強まりとともに住民が少しずつ集まった。午後8時、七北田川の水位が上がり、同地区に避難勧告が出された。外は既に1時間に30ミリを超える激しい雨。岡田小へ向かうことを諦め、びしょぬれで避難ビルに駆け込む住民もいた。
 記録的大雨は13日午前0時前後をピークに降り続いた。窓の隙間から避難ビルにも雨水が入り込むほどだったという。20〜90代の住民12人が一夜を明かし、午前7時ごろまで滞在した。
 市によると沿岸18カ所の津波避難施設のうち岡田を含め計六つの避難ビル、避難タワーに住民らが集まったことが確認されている。
 市は各施設が震災の復興交付金で整備され、津波発生時以外の使用は「目的外」に当たるとの立場。各施設に職員を配置しないこともあり、台風などの大雨時は職員が常駐する指定避難所への避難を推奨する。
 市防災計画課の鈴木知基課長は「台風19号では午後1時とかなり早い段階で指定避難所を開けた。可能な限り決められた場所に避難してほしい」と話す。
 二瓶さんは原則を理解しつつ「せっかく整備した施設。早く避難することが最も重要で、指定避難所へ行けない場合などは柔軟に使えるようにしたらどうか」と提案した。


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2019年11月16日土曜日


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