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続く水位上昇・・・募る焦り 孤立の丸森町役場、長年の対策歯立たず

冠水した宮城県丸森町役場前。グラウンドの照明が突然、点灯した=10月13日午前0時ごろ(町提供)

 「排水ポンプの吸い込みが負けている」
 台風19号の上陸が迫った10月12日午後4時すぎ、宮城県丸森町総務課の加藤将さん(34)は焦りを募らせていた。
 消防と防災を担当し、この日は消防団と一緒に、水路に流れ込んだ雨水を阿武隈川支流の新川に排水する作業に当たっていた。
 役場がある町中心部は大雨のたびに冠水し、町は調整池や雨水ポンプ場を整備するなど長年対策に力を入れてきた。
 12日はポンプ場のポンプ3基と排水ポンプ車2台をフル稼働させた。排水能力は最大で毎秒3.9トンに達したが、水路の水位は逆に「30分ほどで30センチ上昇した」(加藤さん)という。
 夕方から雨脚が強まった。気象庁は午後7時50分、宮城や福島など5県に大雨特別警報を発表。町は同時に、災害が既に発生していることを意味する「警戒レベル5」の災害発生情報を出した。
 役場周辺で冠水が始まり、降りしきる雨滴の水紋が無数に広がる。災害対応の「司令塔」の孤立が現実味を帯びてきた。
 町中心部では、午後11時までの1時間降水量が60ミリに達した。10月の平均降水量の4割を超す記録的な雨だ。
 午後10時半ごろ、ポンプ車のエンジンをかけたまま消防団員の撤退が決まった。「ポンプを回す以外、何もできない」。現場で指揮を執った町消防団丸森分団長の今野三男さん(64)が肩を落とした。
 約20分後、ポンプ場が浸水したとみられ、ポンプ3基全てが停止。頼みのポンプ車も1台が13日午前1時に止まり、残る1台で排水するしか手だてはなくなった。
 「事前に策を講じてきたのに、フルボッコにされた(一方的に打ち負かされた)感じだ」
 加藤さんは無力感に襲われていた。

 台風19号豪雨の猛烈な雨は丸森町中心部に約50ヘクタールもの巨大な泥水の湖を出現させ、役場を2日余り孤立させた。職員らの証言などを基に、保科郷雄町長(69)が災害対応の指揮を執り始めてからの48時間を追った。
(田村賢心、東野滋、鈴木拓也)


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2019年11月17日日曜日


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