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漂流ポストに世界が共感 「震災犠牲者へ手紙」映画化、海外で受賞続く

赤川さん(右)に受賞を報告する清水さん=陸前高田市

 東日本大震災で亡くなった人に向けてしたためた手紙を預かる陸前高田市広田町の「漂流ポスト」を題材にした短編映画が今年、海外の映画祭で相次いで高い評価を受けている。亡き人との対話を通じて悲しみから立ち上がるという普遍的メッセージが、世界的共感を集めている。
 映画監督清水健斗さん(36)=横浜市=の作品「漂流ポスト」(2017年、31分)は、震災で犠牲になった親友との約束を果たすために漂流ポストを訪れた主人公が、ポスト設置者に背中を押されて新たな一歩を踏み出す姿を描いた。
 清水さんは、漂流ポストを設置した赤川勇治さん(70)から直接話を聞き、投函(とうかん)された手紙を実際に読んで脚本を練り上げた。撮影も現地で行った。
 これまでに国内外20の映画祭に出品し、フランスのニース国際映画祭で外国語短編映画部門の最優秀作品賞を獲得。英国のロンドン国際映画祭では外国語部門の最優秀助演女優賞などに輝いた。
 清水さんは震災が発生した翌日の11年3月12日、当時勤務していたCM制作会社の仕事で岩手県沿岸を訪れる予定だったという。「自分は生かされた」と語り、震災の風化を防止しようと映画の製作に乗り出した。
 今月13日には陸前高田市を訪れ、赤川さんに相次ぐ受賞を報告。清水さんは「漂流ポストのように、映画が多くの人の心の蘇生につながってほしい」と語る。
 赤川さんも「亡き人へしたためる手紙の働きについて、自分と同じ考えを持つ人に映画という形で伝えてもらえたのがうれしい」と海外での高評価を一緒に喜んだ。
 作品は今後、22日開幕の広島国際映画祭などで上映される。東北ではまだ上映されていないが、陸前高田市内での上映を模索している。

[漂流ポスト] 東日本大震災の犠牲者遺族らの思いを受け止めたいと、赤川勇治さんが2014年3月に開設、管理している。これまでに届いた手紙は600通以上。震災にとどまらず、事故や病気で亡くなった人に宛てた手紙も少なくない。


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2019年11月18日月曜日


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