宮城のニュース

仙台市の浸水地区8割超が内水氾濫 「8.5豪雨」以降の雨水対策、費用足かせ整備進まず

台風19号で冠水した仙台市宮城野区白鳥地区の住宅地=10月13日

 台風19号で仙台は総雨量が383.5ミリに達し、約1050戸が床上・床下浸水した。旧笊川や七北田川の氾濫だけでなく、排水能力を超えた降雨で起こる「内水氾濫」による浸水が、被害箇所の8割超を占めた。市は1986年の「8.5豪雨」を教訓に雨水対策を強化したが、膨大な費用が足かせとなり、進んでいなかった。(報道部・上村千春)

 藩制時代に築かれた六郷堀が流れる若林区古城3丁目。10月12日深夜からの豪雨で堀はあふれ、南側の住宅地が冠水した。町内会「六郷堀親睦会」によると、十数戸が床上浸水したという。
 森義一会長(70)の自宅も床上20センチまで水に漬かった。畳や家具は処分を余儀なくされ、車1台を廃車にした。水を吸った床板はカビが生え、すぐに修繕を始めたたものの、年内に終わるかどうか分からない。
 「あの夜は四方から水が押し寄せて来た。床下浸水はたびたび経験したが、床上は60年以上暮らして初めてだ」と驚きを隠さない。
 古城3丁目は雨水と汚水が一つの下水管に合流する区域にある。下水管の容量を超える雨量により、排水できなくなった水が低地に流れ込んだとみられる。
 町内会は数年前から、排水ポンプや調整池の設置を市に要望するが、なかなか実現しない。南蒲生浄化センター(宮城野区)につながる幹線下水管が2022年度に完成するためで、市は「幹線が整備されれば被害は緩和される」(下水道調整課)と理解を求める。
 市の集計によると、台風19号で5戸以上の床上・床下浸水があった地区は、市内で少なくとも34カ所あり、29カ所(85.3%)は内水氾濫が原因とみられる。

 宮城野区白鳥地区はほぼ全域が冠水し、35戸が床上浸水した。和田新田堀から七北田川に排水する緊急用ポンプが稼働したが、堀の水かさは増し、あふれた。
 土地が低い白鳥地区は東日本大震災でさらに地盤が沈んだ。近くの仙台港に15年、西原雨水ポンプ場が完成したが、設置されたポンプは計画数の半分。ポンプ場へ雨水を流す堀の改修も道半ばで、排水能力の増強と言うには心もとない。
 中野白鳥町内会の小湊国雄会長(81)は「震災後に住宅をリフォームしたばかりなのに、水害で再び被害を受けた住民もいる。せめて緊急用ポンプの能力を上げてほしい」と訴える。
 市が8.5豪雨を機に取り組む雨水対策は計画面積1万7662ヘクタールに対し、完了は35.5%にとどまる。ポンプ場1カ所の整備に50億〜100億円、幹線下水道管は1メートル当たり100万円かかるとされ、予算確保に窮し、遅々として進まない。
 市下水道調整課の加藤公優課長は「雨水対策が計画通りに終わっていれば、台風19号の被害も軽減できただろうが、事業のスピードアップは難しい」と話す。


関連ページ: 宮城 社会

2019年11月18日月曜日


先頭に戻る