福島のニュース

福島で31人の犠牲者、半世紀の水害で最悪 深夜に氾濫し避難遅れ

福島県を襲った1998年8月の集中豪雨の被害。阿武隈川の濁流で橋のたもとがえぐられた=西郷村の羽太橋

 台風19号による福島県内の死者数31人は、過去50年の豪雨災害で最多となった。これまで何度も洪水被害に見舞われた福島県でなぜ被害は拡大したのか。人的被害をもたらした半世紀の水害の歴史を基に、今回の被害を検証した。
(福島総局・神田一道)

■浸水被害少なく

 県内で1969年以降に犠牲者が出た台風や豪雨は表の通り。死者・行方不明者を伴った水害は20件で、これまでの最多は89年8月に発生した台風13号の14人だった。
 台風13号は千葉県銚子市付近に上陸し、雨雲を引き連れて、県内を夜間に縦断した。阿武隈山地や吾妻山系で総雨量200〜400ミリの大雨を降らせた。
 浜通りのいわき市や浪江町などで河川の破堤が続発したが、浸水被害はそう大きくなかった。床上床下浸水は約4500棟で、86年の「8.5豪雨」の3割程度。死者・行方不明者14人のうち11人は猪苗代町で崩落した橋からの転落で、浸水とは別の理由だった。
 事情は11人が亡くなった98年8月豪雨も同じだ。白河市や郡山市を中心に約3700棟の床上床下浸水があったが、犠牲者の多くは溺死ではなく、西郷村の土砂崩れが原因だった。
 自然災害に詳しい福島大大学院の川越清樹教授(環境科学)は「突然発生する土砂崩れの方が多数の死者が出やすい。事前に水位上昇を予測できる河川氾濫で、今回の台風19号のように犠牲者が出るケースは珍しい」と分析する。
 実際、「戦後最大の大洪水」とされた8.5豪雨でも死者は3人。2011年9月の台風15号でも500棟以上の浸水被害があったが、犠牲者は1人もいなかった。

■産官学で検討を

 なぜ今回は被害が拡大したのか。川越教授は過去最悪レベルの豪雨によって河川の越水や破堤が相次いだことに加え、深夜から未明にかけて氾濫が相次ぎ、避難できずに取り残される住民が多くなったとみられると指摘する。
 800億円を投じて進められた阿武隈川の「平成の大改修」もあって県内では2000年以降、犠牲者を伴う河川氾濫が大幅に減った。ハードに比べソフトの対策が不十分となり、結果として住民の「避難しなくてもいい」という過信を招いた可能性もある。
 川越教授は「住民に避難を呼び掛けるツール自体は格段に発達したが、実際の避難につながっているかどうかは課題が残る。平時から住民に興味を持って防災を考えてもらう手法を産官学が一体となって検討する必要がある」と話す。


関連ページ: 福島 社会

2019年11月18日月曜日


先頭に戻る