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<せんだい進行形>「香り豆」原料の豆腐高評価 全国品評会で仙台の2店快挙

笹原さんは日々大豆と向き合いながら、父の作った豆腐を目指し続けている
ゴムの袋に一つ一つ手作業で豆乳を注入する
念願の金賞受賞を喜ぶ安達さん

 仙台市の二つの豆腐店が登米市で試験的に生産された青大豆「香り豆」を使用して作った豆腐が、「第5回全国豆腐品評会」で最優秀賞と金賞を獲得した。品評会は全国豆腐連合会(東京)の主催で、4部門に179社が計480点を出品。全国大会に進んだ84社143点の中で、選考を勝ち抜いた両店主は「おいしい大豆を届けてくれる農家さんに感謝したい」と話す。(報道部・天艸央子)

■最優秀賞 ささはら豆腐店「プチ玉(香)」 父の遺志継ぎ商品化

 仙台市太白区緑ケ丘のささはら豆腐店が製造販売する豆腐「プチ玉(香(かおり))」は、東北で初となる最優秀賞の農林水産大臣賞に選ばれた。冷やした豆乳で作る充填(じゅうてん)豆腐。濃厚な味とまろやかな食感、豆の香り、滑らかな外観が評価され、品評会の最高得点を獲得した。
 作るのは店主の笹原淳さん(46)。ゴム袋に充填された豆腐をつまようじで割って取り出す形は、亡き父功さんが約25年前に商品化を検討。ただ、当時は類似の安価な商品があり「良い材料で手間をかけた分、安い値段では売れない」と販売に至らなかった。
 父が他界して22年。香り豆の特長を生かそうと考えたとき、丸い充填豆腐を手に持つ父の姿を思い出した。父の言葉を頼りに今年2月、商品を完成させた。
 「店を継いだ直後、得意先の親方に『おやじには一生追い付けねえぞ』と言われた。悔しかったけど、今はその通りだと思う」。淳さんはしみじみ話す。「久しぶりに父と一緒に仕事をした気持ちだ」

■金賞 兎豆屋「香おぼろ」 独自製法野性味増す

 仙台市青葉区福沢町の兎豆(とまめ)屋は、「香(かおり)おぼろ」で「寄せ・おぼろ」部門の金賞を受賞した。店主の安達圭介さん(44)は「全国の舞台で1位になったことがまだ信じられない」と喜びを口にした。
 「香おぼろ」はトロッとしたクリームのような食感が特長。香り豆の濃い味と香りを最大限に生かす工夫を凝らした。「にがりで凝固する限界まで豆乳濃度を高める独自の製法が、豆の特長とマッチした」と分析する。
 2月に東京で開催された別のコンテストでも高い評価を得ていたが、「豆腐作りで大切にしている『野性味』が不十分だった」。10月の品評会に向けて開発を重ね、滋味深い仕上がりとなった。
 豆腐好きが高じて2014年に開業した安達さん。言葉の端々に豆腐への情熱がにじみ出る。毎年の品評会で辛酸をなめた末、ようやく手にした金賞。「笹原さんは仲間であり、良きライバル。来年は絶対に最優秀賞を狙う」と意気込む。

◎希少価値高い在来種 収穫1.2トン→6トン流通量徐々に増加へ

 「香り豆」は希少価値の高い在来種で、市場にはほとんど出回らない。福島市の農家が主に枝豆用に小規模で生産していた。最大の特長は「花から枝豆の香りがする。こんな豆は他にない」。大豆の卸売りを手掛ける三倉産業(仙台市)の浅利直さん(48)が語る。
 「この豆を豆腐にしたら絶対においしい」と確信した浅利さんは、登米市の農家に豆を持ち込んだ。昨年初めて作付けし、試験的に1.2トンを収穫。「豆の良さを生かす技術力と情熱がある」と見込む笹原さんと安達さんに豆を託した。
 「プチ玉(香)」と「香おぼろ」の受賞で、香り豆は豆腐業界の熱い注目を浴びている。今年は昨年の5倍に当たる6トンが収穫され、徐々に流通量も増える見込みという。


2019年11月29日金曜日


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