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上羽鳥の神楽、地元で奉納 映像記録し伝承へ 全町避難の福島・双葉

獅子が毬と戯れる地区独自の余芸「毬取り」も演じられた
観音堂の前で獅子が舞った神楽奉納=1日、福島県双葉町上羽鳥

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県双葉町の上羽鳥地区で1日、住民たちが地域伝統の神楽を原発事故後初めて町内で奉納した。継承に向け映像で記録するのが目的。住民たちは古里の伝統をかみしめ、地域のつながりを再確認した。

 地区住民で組織する上羽鳥芸能保存会が、各地区に動画での記録を呼び掛ける町教委に賛同。15人が県内外の避難先から集まった。帰還困難区域にある地元の観音堂の境内で笛や太鼓を奏でて神楽を舞い、町復興支援員らが撮影した。
 剣や鈴を持つ剣舞、激しく動く乱舞に続く余芸「毬(まり)取り」が地区の神楽の特徴。眠る獅子があくびをしながら目覚め、毬と戯れる様子も見事に演じられた。
 原発事故の約1年後、福島県猪苗代町で開いた地区総会以来、約7年8カ月ぶりの神楽奉納。はかまや法被を新調し、前日にいわき市で練習し本番に臨んだ。
 獅子頭をかぶった団体職員西山秋孝さん(62)は「久しぶりだったので終えられてほっとした。つないでいかないと先輩から受け継いだものが途絶えてしまう」と話した。
 地区は、帰還困難区域を再び住めるよう整備中の特定復興再生拠点区域(復興拠点)に含まれる。町は拠点などで2022年春の居住再開を目指すが、住民帰還の行方は見通せない。
 後継者育成の若手指導が始まって間もなく原発事故が起きた。保存会会長の会社経営松永正敏さん(61)は「古里で見る神楽は懐かしく、伝承していかなければならないと改めて感じた。集まって練習するのは大変だが、若手に声を掛けていきたい」と話した。


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2019年12月02日月曜日


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