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廃炉最前線、ジオラマに いわきの団体が理解促進へ制作

福島第1原発の構内を再現したジオラマ
2号機原子炉建屋の模型

 東京電力福島第1原発の廃炉の現状を発信するいわき市の一般社団法人「AFW」が、第1原発のジオラマを作った。住民が立ち入ることが難しい構内を、模型を使って分かりやすく伝えるのが目的。代表の元東電社員、吉川彰浩さん(39)は「第1原発を誰もが語り合える場所にしたい」と話す。
 ジオラマの大きさは縦1メートル、横1.4メートル。350万平方メートルの広さがある第1原発の構内を2000分の1に縮尺した。廃炉作業が進む原子炉建屋や処理水を保管するタンク、地下水をくみ上げる井戸といった各種施設を忠実に再現。分割して持ち運ぶことも可能だ。
 ジオラマには、ピンク色の桜並木のミニチュアがある。かつて原発構内は地域住民らが花見を楽しむスポットでもあった。廃炉や処理水の処分方法ばかりが注目される第1原発に、さまざまなストーリーがあることを知ってほしいという。
 吉川さんは原発事故後に東電を退社し、AFWを設立。当初は被災地視察の参加者らに紙の資料を配って説明したが、ぴんときていないようだった。100円均一店の材料で簡易の模型を作って説明すると、理解が進んだように見えた。
 現在のジオラマは2018年9月に完成した。原発を所管する経済産業省の協力も得て構内に何度も通い、細部に至るまで精密に再現。ジオラマ作りは、奈良県の模型制作会社「大和工芸」が担った。
 構内ジオラマと別に、原発事故で炉心溶融(メルトダウン)した2号機原子炉建屋の内部構造が一目で分かる模型も制作。中高生向けに平易な言葉で廃炉を伝える冊子作りにも取り組んでいる。
 原発事故から8年が経過し、廃炉を巡る問題は複雑化する。ジオラマは、専門家でなければ議論しにくい廃炉問題を住民視点で身近に感じてもらい、誰もが語り合える施設にしたいという狙いもある。
 吉川さんは「複雑な原発を可視化することで誰もが理解できる施設になる。地域の未来をより良くするためにみんなで考えるきっかけにしたい」と話す。


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2019年12月05日木曜日


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