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宮城県美術館の移転必要? 県の集約案に美術関係者ら強い不満

突然持ち上がった移転・集約案に揺れる県美術館=仙台市青葉区川内元支倉

 仙台市青葉区の東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)と宮城県美術館を、同市宮城野区の仙台医療センター跡地に移転・集約する県の方針案に、県内の美術関係者らから強い不満の声が上がっている。「寝耳に水だ」「時代に逆行する」など、疑問や不安が噴出している状況だ。
 登米市の造形作家吉原かおりさん(51)は「初めて個展を開いた場所が、県美術館の県民ギャラリーでした。ロケーションも素晴らしく、前川国男設計の歴史的価値のある建物なのに、取り壊されてしまうのでしょうか」と計画の行方を不安視する。
 県民ギャラリーで書道展を開催する洗心書道会の中塚仁会長(69)=青葉区=は「長年慣れ親しんだ場所で、施設環境も素晴らしい。重要施設を仙台市中心部から離していくやり方は時代に逆行する」と言う。
 「展覧会など学生の頃から通った思い入れある場所。移転には反対だ」と話すのは、ギャラリーターンアラウンド(青葉区大手町)の関本欣哉代表(42)。「降って湧いたように話が出てきた。方針の決定過程が不透明だ」と指摘する。
 東京芸術大名誉教授の高山登さん(75)=泉区=は2015〜16年度、県美術館のリニューアルに関する懇話会の委員を務めた。「議論を重ね、基本構想の策定までこぎ着けたのは、一体何だったのか」と憤りを隠さない。「美術館は研究機関。貸しホール的な使われ方をする施設とは全く異なり、相乗効果は期待できない」と手厳しい。
 市内周遊観光の面から疑問を呈するのは、東北工業大ライフデザイン学部の大沼正寛教授(47)だ。「仙台市博物館も近く、観光ルートとして一体感がある。せっかく市営地下鉄東西線の駅ができたのに、あまりに中途半端だ」
 県美術館に勤務歴がある前県芸術協会理事長の大場尚文さん(78)=富谷市=は「方針を打ち出した懇話会には当事者の県美術館関係者も、県内の芸術家も入っておらず、意見が反映されていない」と困惑顔。「現美術館建設の際には、県民から広く意見を集めた。将来像をじっくりと議論する場が必要だ」と指摘する。

[宮城県美術館]1981年11月開館。設計は近代建築の巨匠ル・コルビュジエの下で学んだ「モダニズム建築の旗手」前川国男。高橋由一、松本竣介ら東北ゆかりの作家のほかカンジンスキー、クレーなどの外国作品も所蔵する。90年には、佐藤忠良記念館が開館した。11月18日、県の県有施設の再編に関する有識者懇話会で、県民会館とともに移転・集約する案が示された。


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2019年12月06日金曜日


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