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宮城県の方針案、仙台市のまちづくり翻弄 県民会館と県美術館集約で都心再生構想に狂い

仙台市がまちづくりで重点を置くJR仙台駅西側(写真手前)。県民会館と県美術館が移転・集約されれば駅東側(写真奥)に一大文化ゾーンが誕生する

 仙台市青葉区の東京エレクトロンホール宮城(県民会館)と県美術館を宮城野区に移転、集約する県の方針案を巡り、市の都心まちづくりが揺れている。JR仙台駅西側に重点を置き、定禅寺通や青葉通を軸に再整備を誘導するが、県の方針案が現実になれば駅東側に一大文化ゾーンができ、都心再生の青写真にも狂いが生じる。県主導で突如浮上した新たなまちづくりに、市は翻弄(ほんろう)されている。

 「にぎわいを形成する地域と歴史的、文化的に重要な区域から文化施設がなくなる。まちづくりにすごく影響がある」。郡和子市長は11月26日の定例記者会見で、唐突に示された集約案に動揺を隠さなかった。
 県民会館はシンボルロードの定禅寺通にあり、県美術館は青葉山の文教ゾーンに立つ。二つの施設を仙台医療センター跡地に集約する県の方針案は、立地場所の姿を一変させるだけでなく、駅西側の集客力の一部を3、4キロ離れた駅東側に移し替える意味も持つ。
 「西と東でバランスよく人が流れる。市にとってもマイナスではない」。村井嘉浩知事は前日の定例記者会見で、まちづくりへの貢献を強調したが、郡市長は「それも一つの考え方」と理解を示しつつ、歓迎とは言い難い表情を浮かべた。
 市の都心まちづくりは長年、旧城下町の駅西側を中心に展開する。2017年には定禅寺通活性化室を設置。市役所本庁舎の建て替えを機に一番町、勾当台エリアの集客力を高めるべく、通りに憩いの空間をつくる社会実験に取り組む。
 今年10月に始動した「都心再構築プロジェクト」も主な舞台は駅西側。青葉通を軸とする都市再生緊急整備地域(約79万平方メートル)を対象に、老朽ビルの建て替えや高機能オフィスの整備を誘導する。市の音楽ホール構想も延長線上にある。
 県の集約案は、こうしたまちづくりの「西高東低」に一石を投じる。東西の均衡ある発展に期待する声が上がる半面、保守系市議は「コンパクトシティーの範囲が広がる」と懸念する。
 市は県民会館が移転した場合の跡地利用にも関心を寄せる。郡市長は11月22日、県庁で村井知事と会談。跡地はまちづくりを左右するとして「活用に関わらせてほしい」と申し入れたが、知事に「タイミングが来たら」とはぐらかされた。
 次回のトップ会談は来年1月に公開で行われる。市のまちづくりが転換点に立つかどうかは、もはや知事の決断次第。市幹部は「従来通り、県民会館と県美術館は市にとって重要な場所と伝える以外にない」と手詰まり感を打ち明ける。


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2019年12月11日水曜日


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