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ノーベル化学賞のグッドイナフ氏は「生涯現役の手本」 東北大・笠谷元教授が祝意

講義をしたグッドイナフ氏(左)と笠谷さん=1976年、東北大理学部
笠谷光男さん

 10日夜(日本時間11日未明)に吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)らと共にノーベル賞授賞式に臨んだジョン・グッドイナフ米テキサス大オースティン校教授(97)は、かつて東北大を訪れたことがある。当時教えを受けた元理学部教授の笠谷光男さん(80)=仙台市太白区=は「グッドイナフという名前の通り『十分立派な』研究者。生涯現役の手本だ」と受賞を喜んだ。
 グッドイナフ氏は、1980年代に高性能の正極を開発してリチウムイオン電池の性能を大幅に高めた。後に吉野氏が生み出した安全で実用レベルの電池の基本構成につながった。
 東北大理学部には、米マサチューセッツ工科大の研究員だった76年、物理教室の招きで訪れた。
 研究室の助手だった笠谷さんは、グッドイナフ氏の研究書「磁気と化学結合」を愛読していた。「材料科学だけでなく物性物理でもリードする世界的な研究者。一度は教えを受けてみたかった」と振り返る。
 遷移金属化合物のマンガンセレンがリチウムと反応した時に現れる異常磁性を研究していた笠谷さんは、グッドイナフ氏から原因やリチウムの基礎物性などを学んだ。
 大柄でこわもてだが、教え方は丁寧だったという。笠谷さんは「リチウムへの関心が後の電池開発につながるとは思いも寄らなかった」と話した。
 グッドイナフ氏の助言を受けて笠谷さんは論文をまとめ、同年の国際学会で発表した。翌年には留学先のフランスで、英オックスフォード大教授となっていたグッドイナフ氏と研究について話し合ったという。
 授賞式で車いすでメダルを受け取り、笑顔で拍手に応えたグッドイナフ氏。過去最高齢での受賞で、現在も後進の指導に当たる。笠谷さんは何度も読み返した研究書を手に「人生百年時代。われわれの世代の励みになる」と語った。


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2019年12月12日木曜日


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