岩手のニュース

水俣ヒントに地域再生 岩手・陸前高田市民ら環境まちづくり学ぶ 住民が交流会、現地訪問も

水俣市のコミックバンドも登場した交流会=8日、陸前高田市

 東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市と、水俣病を教訓に環境保全のまちづくりに取り組む熊本県水俣市が、住民同士の交流を深めている。「生命尊重」をキーワードに水俣市から地域再生のヒントを学ぶ。
 陸前高田市で8日にあった交流会では、水俣病患者の家族で水俣病資料館の語り部でもある漁師杉本肇さん(58)が講演した。差別や住民対立、病魔との闘いに直面した一家の歩みを振り返り「自分たちが加害者になってはいけない」と語った。
 杉本さんは「寸断された人の心や溝を埋めていかなければならない。水俣は、もう一度切れた糸をつなぎ直す『もやい直し』を合言葉にしてきた」と説明。地域を明るくしたいと結成した水俣のコミックバンド「やうちブラザーズ」がパフォーマンスを披露した。
 両市民の交流を働き掛けたのは、元立教大副総長で、一線を退いてからも陸前高田市の支援を続ける西田邦昭さん(68)だ。
 水俣病を教訓としてごみ分別など先進的な環境保全活動に取り組み、今では国の環境モデル都市に認定されるまでになった水俣市が、被災地再生の参考になると発案。「陸前高田も命の尊さを伝えていくまちになってほしい」と訴える。
 交流事業は昨年6月に始まり、今年4月には陸前高田市の市民が水俣市を訪問。無農薬で栽培した紅茶をロンドンの有名店にも卸している生産者を訪ねた。
 交流を続ける「北限の茶を守る気仙茶の会」メンバーの菅原由紀枝さん(57)は「ないものねだりではなく、あるもの探しをする姿勢など教わることが多い。陸前高田も命を大切にする場所として発信し続けることで、さまざまな災害で今苦しんでいる地域の人々の希望にもなる」と話す。


2019年12月14日土曜日


先頭に戻る