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カキ養殖改革が高評価 南三陸・戸倉の生産者、農林水産祭で天皇杯

志津川湾の漁場でカキを水揚げする後藤さん

◎過密養殖から脱却 質向上、環境負荷は減

 宮城県南三陸町の県漁協志津川支所戸倉出張所カキ部会が、本年度の農林水産祭の水産部門で天皇杯を受賞した。東日本大震災を機に過密養殖から脱却して品質や生産性の向上を図り、環境負荷を減らした漁業の実現が高く評価された。
 カキ部会に所属する戸倉地区の生産者は震災の津波で、志津川湾にあった全ての養殖棚を失った。震災後は将来を見据えて持続可能な漁業への転換を目指し、養殖棚を3分の1に減らす漁場改革を決断した。
 震災前は種付けから出荷まで2〜3年を要したが、養殖棚を減らした効果でカキに栄養が豊富に行き渡るようになり、1年で出荷できるまでの大きさに成長した。1経営体当たりの年間生産量は約2倍、生産額は1.5倍ほどに増えた。
 部会長の後藤清広さん(59)は「カキの実入りが良くなり、廃棄する分が減った。労働時間の短縮や燃料代などの経費削減にもつながった」と手応えを話す。
 カキ部会は震災や高齢化の影響でやめた生産者もおり、現在は34の経営体で構成する。漁場を有効活用するため、震災後は養殖棚を配分する際、後継者の有無や家族構成に応じたポイント制を導入した。
 後継者がいる世帯に多くの養殖棚が配分されるようになり、漁業から離れていた若者が戻って来るなどの好循環も生んでいる。
 2016年には環境に配慮した養殖を後押しする水産養殖管理協議会(ASC)の国際認証を国内で初めて取得した。戸倉産のカキは「戸倉っこかき」のブランドで販売されている。
 「どん底からの出発だったが、受賞は生産者が心を一つにして改革に取り組んだ成果」と後藤さん。「自然を生かすも殺すもわれわれ次第。今後も生産技術の向上に努め、良質なカキを多くの人に届けたい」と力を込めた。


2019年12月16日月曜日


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