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女川原発・広域避難にリスクと障壁 県道は交通規制や渋滞相次ぐ

牡鹿半島の住民らが避難時に通る国道398号は夕方に渋滞が発生していた=9月25日午後5時30分ごろ、石巻市吉野町(写真の一部を加工しています)

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)が原子力規制委員会の審査に事実上「合格」し、再稼働が現実味を帯びつつある。地元の広域避難計画は重大事故時に実効性を保てるのか。計画上の経路をたどると、東日本大震災など過去の災害でも表面化した多くのリスクや障壁に直面した。(報道部・柴崎吉敬、横山勲)

 女川原発のある牡鹿半島を起点に、石巻市が計画した避難ルートを車で走った。複合災害に備えて市が設定したのは2経路。国道など幹線道路が通行不能となった場合を想定し、県道を主とするルート(第2経路)を選んだ。
 9月下旬の平日夕方に半島南部の鮎川浜を出発。避難先を割り振る「避難所受け付けステーション」に指定されている県大崎合同庁舎(大崎市)を目指した。

■乗り合いで

 計画は、原則として近隣住民同士の乗り合いなどで自家用車で大崎市に逃げるよう定める。県道は道幅が狭く、片側1車線で見通しの悪い急カーブが続く。対向車線に復興工事の大型トラックが走り、速度は上げられない。
 「平日朝は工事の片側規制で渋滞する。頼りにならない道。冬は坂道が凍っておっかないよ」。半島南部にある十八成(くぐなり)浜の県道沿いに住む阿部ハツミさん(79)は苦笑する。
 原発の立地から、いったん原発に近づくルートをたどる必要がある。長い坂を越えるたびに「津波浸水区間ここから」と記した標識に出くわす。海岸部では復興工事のため何回も片側交互通行で足止めを食った。
 沿道の住民によると、震災で県道の複数箇所で土砂崩れが発生。途中のトンネル付近では10月の台風19号豪雨で崖が崩れた。過去にはトンネル内の事故規制で大混雑したこともあったという。「この道しかないけど避難経路として現実的じゃない」。半島北西部の侍浜地区に住む男性(66)がぼやいた。

■道は真っ暗

 半島を抜け、国道398号を進む。石巻市中心部に近づいた午後5時半ごろ、渋滞に巻き込まれた。JR石巻駅前につながる橋の手前で車列がぐんぐん伸びる。500メートル程度の通過に20分以上かかった。
 市中心部にはバス避難者の一時集合場所となる学校が複数ある。万が一の場合は栗原市に避難する女川町民の車両通行も予想され、渋滞の悪化は避けられそうにない。放射性物質拡散後の避難となれば、汚染状況を調べる退域検査ポイントを通る必要もある。混雑やトラブルが想定される。
 東松島市に入ると街灯が減った。真っ暗な道で心細さが増す。途中取材を挟んだこともあって合同庁舎への到着は夜。約70キロの道のりは実際より長く感じた。

[メモ]石巻市が2017年3月に公表した広域避難計画は、全市民14万人以上が宮城県内27市町村に避難する内容。同市の牡鹿半島の8行政区計500人以上は原発5キロ圏の予防的防護措置区域(PAZ)に含まれ、半島南部の住民もPAZに準じた避難などが求められる。多くの住民は原則、車やバスで県道を走り、半島を北上する。被災状況などに応じ、国道を主とする道か、南側の県道中心のルートに沿って大崎市に向かう。


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2019年12月10日火曜日


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