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原発事故・自主避難訴で国の責任認めず 山形地裁判決、東電のみ賠償命令

 東京電力福島第1原発事故による山形県への自主避難者ら200世帯734人が、国と東電に総額約80億7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、山形地裁は17日、国の賠償責任を認めず、東電に対し原告5人に計44万円の支払いを命じた。原告側は控訴する方針。
 5人は原発事故後の一定期間内に妊娠していた人や生まれた子どもらで、福島、いわき両市からの避難者。5人以外の原告については「東電が既に弁済した額を超えない」などとして賠償の上積みを認めなかった。
 原告側弁護団によると、全国で約30ある原発事故を巡る集団訴訟で13件目の判決。うち国は10件で被告となり、責任が認められなかったのは4件目となる。東電が賠償を命じられるのは地裁判決だけで13回連続となった。
 判決理由で貝原信之裁判長は、政府機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づき「国は10メートル以上の津波の到来を予見できた」と認定。ただ、東電に対策を取らせたとしても「事故を防げなかった可能性が相応に残る。規制権限を行使しなかったことが合理性を欠くとは言えない」と述べた。
 一方、東電は原子力損害賠償法により過失の有無に関わらず賠償責任を負う「無過失責任」を負っているとして、原告側が訴えた民法上の不法行為による賠償請求を「理由がない」と退けた。原賠法に基づいて慰謝料を算定する上で考慮すべき重過失については「一定の津波対策を講じており、あったとは言えない」と否定した。
 原告の9割は自主避難者が占めていた。判決は事故や放射能に対する恐怖と不安は「事故と因果関係がある」として平穏生活権の侵害を認定する一方、それぞれの地域で避難しなかった人も多かったことなどを理由に、居住・移転の自由の侵害は否定した。
 原告は「原子力損害賠償紛争審査会の中間指針が示す賠償基準は、現実の損害と懸け離れた低い金額だ」として1人当たり1100万円の賠償を求めていた。


2019年12月18日水曜日


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