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地上イージス「秋田同様ゼロベースで」山口・阿武町の住民訴え 政府対応に差、反発強まる

地上イージスを巡る防衛省の住民説明会では出席者から厳しい意見が相次いだ=19日、阿武町

 防衛省は秋田、山口両県への設置を目指した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の山口側の候補地選定再調査で、陸上自衛隊むつみ演習場(萩市、阿武町)を適地と結論付けた。一方の秋田側では陸自新屋演習場(秋田市)を含む青森、秋田、山形3県の国有地20カ所で「ゼロベース」の検討が進む。政府の対応の違いに、人口3270の阿武町では「むつみありきだ」との反発が強まっている。
(秋田総局・渡辺晋輔)

 演習場に近い阿武町のうそんセンターで19日夜に開かれた住民説明会。配備に反対する町民の会の吉岡勝会長(66)が「秋田(新屋)は人が多いから見直すが、山口(むつみ)は少ないので犠牲になれよと。命は一緒だ」と声高に批判した。
 同省は5月公表の調査結果でむつみを適地としたが、資料に数値の誤りが見つかり航空機で測量を実施。山口と島根両県の国有地36カ所と米軍岩国飛行場(山口県岩国市)を比較し、むつみを再び適地とした。
 今月中旬には政府が新屋への配備見直しを検討していると報道された。出席した住民は「秋田はゼロベースで検討するのに、むつみには同じことを押し付けている」などと訴えた。
 森田治男中国四国防衛局長は「秋田でも再調査が行われており、現段階で何らかの方針が決まったことはない。むつみも住宅との距離を重視し(新屋との)格差は毛頭考えていない」と懸命に説明した。だが住民の不満は収まらなかった。
 「民有地を含めて検討すべきではないか」「配備は町づくりの足かせでしかない」。防衛省側に出席を求めた19日の町議会全員協議会でも、町議が懸念をぶつけた。北朝鮮が挑発行為を繰り返している現状から「早急に配備するために国有地で検討した」と説明する同省は、むつみが唯一の適地だと繰り返した。
 自民党員の末若憲二町議会議長も「秋田がゼロベースなのに山口はなぜ違うのか」との疑問を抱く。秋田側で再調査が今も続く現状を踏まえ「山口だけ話が早く進む。議員として町民の安心安全を考えなければならない」と危惧する。
 菅義偉官房長官は11月になって「住宅との距離を考慮する」と発言した。末若議長は「最初に考えてほしかった。順番が逆だ」と訴える。

[陸自むつみ演習場と計画の概要]演習場は山口県萩市と阿武町にまたがり、広さ約2平方キロ。日本海までの距離は約10キロ。計画ではレーダーやミサイル発射装置を住宅から約700メートル離す。航空機攻撃に備えた対空防護部隊を含め約250人の自衛官を配置する。

◎防衛省効果的防護立場崩さず

 イージス・アショアの配備候補地を巡り、防衛省は全国を最も効果的に防護するには秋田、山口各県の一部地域への配備が必要だとの立場を崩していない。一方で、秋田側の候補地を決める総合評価の方法は「今後検討する」としている。
 秋田側では陸自新屋演習場を含む青森、秋田、山形3県の候補地を「ゼロベース」で再調査中。対象の国有地20カ所は、北は陸自弘前演習場(青森県西目屋村)、南は鶴岡市に及ぶ。
 山口県阿武町の20日の住民説明会では「秋田側の候補地が変われば山口も動くのか」との質問に、防衛省の担当者は「秋田を変えてしまうと最も効果的な防護ができなくなるのは事実だ」との考えを示した。
 説明会後の取材に、同省は「防護範囲の観点を最も重視しているが、それ以外の要素と組み合わせて総合評価する。その方法は決まっていない」と説明。配備候補地が変わる可能性に含みを持たせた。


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2019年12月24日火曜日


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