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高齢家族の死体遺棄事件多発 生活に困窮、助けを求める声出せず 宮城・福島

 自宅で死亡した高齢の家族を同居する子らが放置する死体遺棄事件が今年、表の通り宮城、福島両県で相次いだ。両県警に逮捕された容疑者は当時40〜60代でいずれも無職。大半は地域で孤立していた。自宅に引きこもる50代の子と80代の親が同居し困窮する「8050問題」に通じる側面があり、公的な支援の必要性が高まっている。
 「生活が苦しかった。助けてくれる親族はいないし、お金を借りても、返す当てがなかった」
 仙台市青葉区大倉で5月に起きた事件の公判で、母=当時(98)=と兄=同(65)=の遺体を放置した罪に問われた元被告女性(61)は力なく、こう述べた。
 女性は仙台地裁から執行猶予付きの有罪判決を受けた。地裁は遺体を長期間放置した女性の行為を悪質としつつ「葬儀費用の捻出すら難しい経済状況で、特に厳しい非難は向けられない」と判決理由を説明した。
 宮城県であった他の事件は全て不起訴となり、県警の捜査で年金の不正受給といった動機は確認されなかった。「(容疑者は皆)経済面や精神的に問題を抱え、家族の死を外部に相談するのが難しかった人」と捜査関係者は振り返る。
 「周囲に助けを求められない状況は、8050問題と同じだ」。生活困窮者の自立支援に取り組む一般社団法人パーソナルサポートセンター(青葉区)の立岡学常務理事が指摘する。
 高齢の親と成人の子で暮らし困窮する世帯の多くが生活保護や介護保険といった制度を知らず、利用をはばかるなどして公的な支援を受けずに孤立や生活苦を深める傾向があるという。
 立岡常務理事は「生活のあらゆる困り事を受け止め、支援に結び付けられる窓口の構築と周知が必要だ」と話す。

■宮城には相談窓口17ヵ所 支援制度の周知課題

 宮城県内で起きた死体遺棄事件は、容疑者が相談相手を持たず、公的な相談窓口を知らずにいたケースが多かったとされる。困窮する中高年や高齢者が頼るべき支援制度の周知や近隣住民の支援が求められる。
 2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法に基づき、生活に窮する人の悩みを受け付ける相談窓口が県内の全14市と町村に3カ所の計17カ所に設けられている。
 18年度の10万人当たりの新規相談件数は、県(仙台市を除く)が18.1件、仙台市が28.5件。全国平均(15.5件)を上回るが、自発的に相談に来られない人も多いとみられる。県社会福祉課の担当者は「潜在的な生活困窮者の掘り起こしが課題だ」と言う。
 県は困窮の要因を見極め適切に支援できるよう、支援員の対応力強化を図る考えだ。同課は「近隣住民が生活に困っていると気付いたら、近くの窓口に知らせてほしい」と呼び掛ける。
 厚生労働省は10日、市区町村に、引きこもりや介護など複合的な問題を抱える家庭に対応できる体制整備を促す方針を示した。相談窓口を一本化し、介護や医療など制度の垣根を越えた包括的な支援を目指す。


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2019年12月22日日曜日


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