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災害発生情報 発令「切迫度全く異なる」見送り「夜間は市民が混乱」自治体戸惑い

台風19号の大雨の影響で阿武隈川が氾濫し、浸水した郡山市付近=10月13日

 台風19号襲来時、福島県内の大多数の自治体は警戒レベル5に当たる災害発生情報を発令せず、発令した自治体からも戸惑いの声が上がった。警戒レベルは防災情報を確実に避難行動に結び付ける狙いで策定されたが、実際は移動中に犠牲になった住民も多く、導入後間もない大規模災害で課題が浮き彫りになった。

 「水がすぐそこまで来ています」
 阿武隈川氾濫を受け、鏡石町は10月13日午前1時50分、災害発生情報を防災無線で住民に伝えた。
 町の担当者は「『災害発生』の情報はインパクトが大きく、感じる切迫度が全く異なる」と説明。「(レベル4の)避難指示や勧告で避難した住民は半数もいないのではないか。『氾濫した』と聞いて初めて逃げようと思う人もいる」と振り返る。
 ただ、内閣府はレベル5について「外に水平避難するのは危険というニュアンスが強い」と説明。レベル4の段階であらかじめ「全員避難」するよう強く求めている。

 こうした認識のばらつきに加え、災害発生が夜間だったことも判断を難しくした。
 レベル5の発令を見送った自治体は「暗い屋外に住民が慌てて飛び出す懸念があった」(伊達市)「夜間に『災害が発生した』などという情報を出せば市民が混乱する」(南相馬市)とそれぞれ理由を語る。
 取材に「発令した」と答えた自治体も簡単ではなかったようだ。相馬市は「屋外は危険で、現地を直接確認することができない。住民らからの情報を基に発令したが、誤報の恐れもあり、判断は難しい」と振り返った。郡山市は「細かい発令基準は設けていなかった」と明かす。

 気象庁が発令する氾濫発生情報と大雨特別警報という二つの「レベル5相当情報」にも、批判が向けられた。自治体が出す警戒レベルとは直結せず、あくまで参考の域を出ないからだ。
 鏡石町は「住民には極めて分かりにくい。気象庁がレベル5相当でも、町がレベル3と出したら混乱させてしまう」と言う。
 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は「自治体が災害発生情報を発令し、住民がその場にとどまっていれば助かった命もあるかもしれない」と指摘。「国や自治体、マスコミなどが周知を図る必要がある。住民も自分の中に避難の基準を持つことが重要だ」と述べた。


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2019年12月25日水曜日


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