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新潟・山形地震で被災 鶴岡・大山四つの蔵で仕込み本格化

蒸し米からこうじを作る杜氏の渡会社長(右)=20日、鶴岡市の渡会本店

 今年6月の新潟・山形地震で震度6弱を観測した鶴岡市で、酒どころ大山地域の四つの酒蔵が日本酒の仕込み作業を本格化させている。被災後初めての新酒造りとあって、蔵人たちは復活した味を応援してくれたファンに届けようと、意気込んでいる。
 銘柄「出羽ノ雪」で知られる創業380年の老舗「渡会本店」では早朝から、蔵人が蒸した米にこうじ菌を振りかけたり、大型タンクで発酵の始まったもろみをかき混ぜたりと、一年で最も忙しい時期が続く。
 今冬の酒造りは、例年より2週間ほど早い10月中旬に始まった。地震の影響によるトラブルが製造ラインに発生する懸念があったが、作業は順調に進み、11月末からは大安吉日に合わせて生酒などが出荷されている。
 杜氏(とうじ)の渡会俊仁社長(56)は「地震後、全国の方々にお酒を手に取ってもらったり、義援金を頂いたりした。恩返しの意味も込め、いつも以上においしいお酒を造りたい」と力を込める。
 地震で大山の四つの酒蔵では酒瓶計約3万本が割れたり傷物になったりした。一部は、4酒蔵が庄内地方の方言で「ありがとう」を意味する「もっけだの」という共通ラベルを貼って販売した。洗浄などにボランティア約100人が訪れた。
 地震直後に真っ先にボランティアをした鶴岡市の飲食店「酒バー彩鶴」の斎藤秀人店長(37)は「お客に被災した酒蔵の写真を見せると関心を寄せてくれる。四つの酒蔵は切磋琢磨(せっさたくま)しつつも非常時は団結して、大山地域全体を盛り上げてほしい」と期待する。
 4酒蔵の飲み歩きができる毎年恒例の人気イベント「大山新酒・酒蔵まつり」は来年2月8日に開催される。出羽商工会(鶴岡市大山)の伊藤司事務局次長は「中止を心配する問い合わせがファンから寄せられていた。酒蔵の中には被災して修理中で通れない場所もあるが、応援してくださる方々を精いっぱいおもてなししたい」と話す。
 鶴岡市によると、市内の被害総額は13日現在約36億円で、このうち商工業関係が半分近くの約16億円を占める。住家関係では被害が集中した瓦屋根の落下住宅619棟のうち、修理の完了や契約済みが494棟、残る125棟は具体的な復旧のめどが立っていない。


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2019年12月28日土曜日


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