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自宅被災も奮起 強い気持ち音に 宮城・柴田の水戸さんオカリナ全国大会V 「諦めない」会心の演奏

オカリナを演奏する水戸さん

 宮城県柴田町の無職水戸ふぢさん(74)が、11月3日に福岡市であったオカリナの全国大会で優勝を飾った。自宅は台風19号豪雨で床上浸水。欠場も考えたが、高齢者が頑張る姿を見せたいと気持ちを奮い立たせ、見事な演奏を披露した。
 水戸さんは65歳以上の奏者が自由曲で競うシニア部門に出場。中国の弦楽器「二胡」の楽曲をオカリナで披露し、11人の出場者の中でトップの成績を収めた。
 「まさか優勝できるとは思っていなかった。家の片付けで練習が満足にできなかった分、演奏に思いを込められた」と会心の演奏を振り返った。
 大会の約半月前、濁流が水戸さんの自宅に押し寄せた。水は床上40センチまで上がった。約120平方メートルの木造平屋は結婚7年目に建てた自慢の家だ。娘の振り袖や先祖の遺影は守り抜いたが、泥をかぶった家具は全て捨てざるを得なかった。
 大会前日まで自宅の押し入れで寝泊まりした。体も心も休まらない日々が続いた。「今でも悪夢を見ているよう。家の中でホースを使う日が来るなんて」
 3人の子どもを育て上げ、オカリナを始めて約8年。市民講師として地元で主婦らを指導するようになった水戸さんには、夢がある。小学校などを訪ね、子どもたちにオカリナを教えることだ。
 水戸さんは「水害に遭ったむなしさは消えないと思うけど、災害のせいで出場を諦めたくないと思った」と話す。強い気持ちで全国大会の舞台に立った。
 今は、仙台市が被災者向けに貸し出す太白区の市営住宅で夫の睦雄さん(76)と暮らす。部屋ではほとんど音を出さず、指使いだけを練習している。
 居住期限は来年4月末。家を修繕するか取り壊すかは、正月に帰省する子どもたちと相談して決める。「狭くてもいいから家を持ち、もう一度思い切りオカリナを吹きたい」と願う。


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2019年12月29日日曜日


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