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さまよう宮城県美術館 移転案に波紋広がる 県民「寝耳に水」、美術関係者ら不在、財政難は待ったなし

 仙台市青葉区にある東京エレクトロンホール宮城(県民会館)と県美術館を宮城野区の仙台医療センター跡地に移転・集約する県の方針案が、美術関係者らに波紋を広げている。改修が検討されていた県美術館に移転案が持ち上がり、唐突な印象をぬぐえないからだ。議論の経緯を振り返った。
 移転・集約案は11月18日、県有施設の再編の在り方を考える県の有識者懇話会で示された。県民会館は、別の検討会議で「医療センター跡地での建て替えが望ましい」との議論が先行していたが、県美術館の移転案が持ち上がったのはこの時が初めてだった。
 そもそも医療センター跡地は、県民会館だけでは敷地に余裕があるため、複合化を検討。県武道館と組み合わせる案もあったが、都市計画の規制で、大規模集客施設の床面積は計1万平方メートル以下としなければならず、客席数を十分確保できない悩みがあった。利用者層も異なり、相乗効果は見込めないとも指摘された。
 県美術館は集客施設に該当しない文化施設で、県民会館とは利用者の親和性が高いと判断され、複合化の対象になった。しかし、県美術館は2015年度から大規模改修が検討され、18年3月にリニューアルに向けた基本方針が示されたばかり。懇話会には美術関係者が加わっておらず、移転案発表は多くの美術関係者や県民にとっても寝耳に水だった。
 県が議論を急ぐ背景には、人口減少による税財源の先細りがある。年々老朽化する公共施設の管理コストの増加は財政運営上の大きな課題となっており、移転・集約など施設管理の効率化は至上命令だ。
 リニューアル基本方針で見積もられた県美術館の改修費は50億〜60億円。県震災復興政策課の志賀慎治課長は「改修しても、そう遠くない時期に建て替えが必要になると考えている。(県民会館と)レストランなどを共用することで、基本方針が掲げた増床を確保できる。地方交付税措置のある起債のメリットやコスト圧縮など総合的な観点で検討した」と話す。


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2019年12月30日月曜日


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