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仙台市の自転車条例、有名無実化? 歩道での押し歩きやヘルメット着用、周知進まず

昨年8月、市が「押し歩き推進区間」で実施した啓発活動。看板も設置したが、条例は浸透していない

 仙台市の自転車の安全利用に関する条例が有名無実化しつつある。自転車保険の加入義務化を除き、昨年1月1日に条例が施行されて1年。認知度は依然低く、歩道での押し歩きやヘルメット着用などの努力義務が、順守されている気配はあまりない。率先垂範すべき市職員の条例違反も目立つ。専門家は「誰も知らない条例なら意味がない」と改善を求める。
(報道部・三浦夏子)

■啓発の効果薄く

 12月12日午後5時すぎ、青葉区の東二番丁通の歩道を、家路を急ぐ市民の自転車が激しく行き交っていた。
 一番町の電力ビル前バス停付近は、1時間に73台の自転車が通過。市が「押し歩き推進区間」の第1号に指定した場所だが、実に62人が自転車を降りることなく、勢いよく駆け抜けた。
 条例は、歩道での押し歩きを利用者の努力義務と定める。推進区間では午前7時〜午後11時、自転車を降りなければならない。市は看板を設置したり、啓発活動を実施したりするなどして注意を促すが、効果は薄い。
 自転車通勤で同区間を通る同区の男性会社員(45)は「歩行者とぶつかりそうなときがある。市が押し歩きを推奨しているなんて全く知らなかった」と話す。

■市職員も「無視」

 電力ビル前の歩道でヘルメット着用はゼロだった。未着用のうち3人は市の有料貸自転車事業「DATE BIKE(ダテバイク)」の利用者。ヘルメット着用も条例で定めている。
 19日夕は勾当台公園付近で未着用の自転車を複数確認できた。同区の公立高2年の女子生徒(17)は「ヘルメットをかぶると髪形が崩れる。着用したいと思わない」と本音を明かす。
 ヘルメット未着用で市役所から自転車で帰る市職員も少なくなかった。市は2018年10月、庁内の電子掲示板で着用を促したが、現状は堂々と無視されている。

■事故背景に制定

 条例は、中高生や高齢者を中心に多発する自転車事故を背景に制定された。だが、押し歩きもヘルメット着用も罰則はなく、厳しく取り締まることが難しい。違反行為を減少させる数値目標も定めてはいない。
 同様の条例制定を目指す県の有識者懇話会ではヘルメット着用率、事故の減少率などの数値目標の導入を求める意見が相次ぐ。
 懇話会の座長を務める東北工大の小川和久教授(交通心理学)は市の条例に関し「自転車は凶器にもなる。難しい面はあるが、やはり数値目標は設定すべきだろう。条例の浸透は上から指示するようなやり方ではなく、市民を巻き込んだ形が望ましい」と提言する。

[仙台市自転車の安全利用に関する条例]2019年1月1日施行(自転車保険加入は4月1日施行)。(1)歩道での押し歩き(2)自転車の定期点検・整備(3)ヘルメット着用−を利用者の努力義務と規定した。保険加入を義務付け、未成年者が自転車に乗る場合は保護者が保険に入らなければならない。学校長には安全利用の教育を求め、自転車小売業者には利用者の努力義務の周知、保険加入の有無の確認が責務と明記した。


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2020年01月01日水曜日


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