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インドの子どもたちに卓球指導 宮城・女川町の元応援職員、新天地で新たな道

現地の子どもたちに卓球の指導をする坂本さん

 東日本大震災の応援職員として宮城県女川町で5年間、広報を担当した坂本卓也さん(38)が、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊としてインドの子どもたちに卓球を指導している。復興に向かって力強く歩む同町の人々に触発されて挑んだ新天地。異国暮らしに悪戦苦闘しつつ、新たな道を切り開く。
(石巻総局・関根梢)

 インド東部のオディシャ州。約400平方メートルの体育館にピンポン球の軽快な音が響く。「Like this(こういう風にやってみて)」。ラケットを振る坂本さんの姿に、子どもたちの視線が集まった。
 生徒の1人、スウェッタパドマ・ダライさん(10)は「他のコーチより球出しのスピードが速くてすごい。私ももっと頑張らなくちゃ」と目を輝かせる。
 坂本さんは大阪市出身で、高校時代に卓球で全国3位になった実力者。活動する同州はスポーツによる地域振興を掲げる。昨年7月から公立体育館を拠点に子どもたちの指導と現地人コーチの育成に取り組んでおり、坂本さんはそのスタッフを務める。
 インドは急速な経済発展を遂げているが、多くの国民の暮らしはまだ成長の途上にある。
 体育館の周囲には牛や野犬が寝そべり、生活に必要なウエットティッシュを買うのも一苦労だ。卓球の設備も十分とはいえず、坂本さんは渡航時に持ってきた大量のボールとラバーを提供して指導に当たる。
 協力隊としての活動は2010〜13年のアフリカ・モロッコ派遣に次いで2度目。モロッコでは教え子の1人が国代表に選出され、一緒に世界選手権パリ大会の大舞台を経験した。
 インドのナショナルチームは国際ランキング上位に食い込む強豪で、有望な選手は全寮制の育成機関で鍛え上げられる。公立の卓球教室での選手養成は容易ではないが、「教え子をナショナルチャンピオンにしたい。自分の帰国後になるかもしれないけれど、結果を出したい」と夢を描く。
 ハードな練習の傍ら、現地の写真を撮影して会員制交流サイト(SNS)で発信する。女川の仲間から寄せられる「いいね!」に変わらぬつながりを感じる。
 「途上国の現状を伝えるのも協力隊員の役割。女川の人たちにも伝えられたらいい」。遠く離れた地から、東北に思いを寄せた。


2020年01月01日水曜日


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