宮城のニュース

仙台オープン病院、経験豊富な退職救命士を積極採用 「使える技術」制限も

転院搬送の準備を整える斎藤さん(左)と伊藤さん=仙台オープン病院

 仙台オープン病院(仙台市宮城野区)が、市消防局を退職した救急救命士を積極的に採用している。救命士は自治体消防を離れると、特定の医療行為ができなくなるが、救命に関する豊富な知識と現場経験は貴重な財産。病院の救急車による患者の転院搬送を補助したり、看護師の救命講習で指導役を務めたりするなど第二の職場で幅広く活躍する。(報道部・石川遥一朗)

 「A病棟の患者さん、30分後、市内のB病院に転院搬送をお願いします」
 オープン病院救急科で働く救命士斎藤和夫さん(60)の院内PHSに19年12月中旬、連絡が入った。気管切開手術を受ける40代の入院患者を専門的な病院に運ぶ。
 同じ救急科の救命士伊藤武夫さん(62)と患者をストレッチャーに乗せ、病室から病院の救急車まで移動させると、慣れた手つきで体に器具を取り付け、血圧や脈拍などを測定。準備が整うと、運転席と助手席に乗り込んで出発した。
 斎藤さんと伊藤さんは元市消防局職員。長年、救命士として救急隊で活動し、数々の現場を踏んだ。定年後、オープン病院に再就職。転院搬送や救命措置の指導に携わり、救急外来では医師の補助業務も担う。
 法律上、現役時代のような器具を使った気道確保や薬剤投与はできないが、知識と経験は存分に生かせる。斎藤さんは「救命士として第二の人生にやりがいを感じる」と目を輝かせる。
 オープン病院は2012年、全国でも珍しい退職した救命士の採用を始め、これまでに4人が勤務している。転院搬送は以前、看護師と事務職員が担当していた。事務職員に代わって救命士がその役割を務め、不測の事態に備えられるようになった。
 茂泉善政救急センター長は「病院の救急車を事務職員が運転するのに比べ、救命士は緊急走行にも慣れている。患者の容体が急変した場合など緊急時に看護師をサポートできるメリットもある」と説明する。
 退職後の救命士も特定の医療行為ができれば、活躍の幅は広がる。現状は自治体消防を離れると各都道府県のメディカルコントロール(MC)協議会の管理下から外れ、「使える技術」が制限される。
 救命士が誕生して間もなく30年。伊藤さんは「自治体消防に属さない救命士もMCの管理下に置く制度ができ、国家資格を長く生かせるようになればいい」と期待する。


関連ページ: 宮城 社会

2020年01月01日水曜日


先頭に戻る