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双葉、3月4日に一部区域先行解除 帰還受け皿の整備、正念場

先行解除される福島県双葉町の避難指示解除準備区域。津波で被災した農地の奥に、建設中の町産業交流センター(左)などが見える

 東京電力福島第1原発事故で全域避難が唯一続く福島県双葉町で、一部区域の避難指示が3月4日に先行解除されることになった。人やモノの往来が本格化し、町が2022年春を目指す住民帰還の環境整備が進むと期待される。ただ将来どれだけの住民が戻るかは見通せず、まちづくりは正念場を迎える。

 先行解除されるのは、北東部の避難指示解除準備区域とJR双葉駅など。町は準備区域を「働く拠点」に位置付け、企業が立地する中野地区復興産業拠点を整備している。
 拠点に事務所を整備している建設会社の社長勝山広幸さん(50)は「解除は復興の一歩。町に戻れる会社から戻り、双葉も再生に向かっていると伝えられるといい」と話す。
 会社はいわき市に仮事務所を置き、双葉駅周辺の帰還困難区域を再び住めるようにする特定復興再生拠点区域(復興拠点)内の除染や建物解体を手掛ける。今は町内に従業員の休憩場所もなく、事務所ができると作業しやすくなるという。
 産業拠点に進出を決めたのは同社など16社。建設や廃棄物関連が目立つ中、工場新設の計画もある。
 先行解除に合わせて予定されているのが準備区域と接続する復興拠点全域を通行証なしで立ち入り可能にする規制緩和。一時帰宅する町民の利便性が高まる。
 双葉駅周辺の行政区長木幡智清さん(78)は来訪者増に期待を寄せる。「常磐線も全線再開する。町民も町民以外の人にも町を見てもらい、関心を持つ人が増えてほしい」と願う。
 準備区域では、県が東日本大震災・原子力災害伝承館を建築中。隣接地で町の産業交流センターの建設も進む。浪江町にまたがる用地には国と県が復興祈念公園を整備する。
 木幡さんは、町民の帰還意識が年々弱まっていると感じている。避難先への定着が進み、町民意向調査でも「戻りたい」は約1割止まり。「医療福祉の環境は最低限必要。その上で魅力をプラスしないと住む人は増えないのでないか」
 町は22年春目標の居住開始に向け双葉駅西側に住宅と商業、医療機能などを備えたコンパクトな街をつくり、帰還する町民や新住民の受け皿にする方針だ。
 伊沢史朗町長は26日の記者会見で「町民に納得される住環境をつくりたい」と強調。避難市町村で唯一ルートに入っていない20年東京五輪の聖火リレーに関し「追加してもらえるよう県や大会組織委員会に要望する」と述べた。

◎大熊・大野病院敷地5日解除

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の新たな解除日が3月5日となった福島県大熊町では、休止中の県立大野病院の敷地も解除される。町は解除を機に病院の早期再開を県に促したい考えだが、県は慎重姿勢をなお崩さない。
 敷地は特定復興再生拠点区域内にあり、広さ約3万4000平方メートル。地域の拠点病院で、再開すれば町民帰還の弾みになるとして町は早期の対応を県に求めてきた。県は再開方針を掲げるが、具体的な時期は示していない。
 町役場であった記者会見で吉田淳町長は「大野病院再開に向けた調査、準備を円滑に進めるため県と相談して敷地の解除に取り組んできた」と説明した。
 鈴木正晃副知事は「大熊で再開を目指す考えに変わりはないが、再開に必要な環境がある。町民帰還や医療需要、民間医療機関の状況などを見極めて対応したい」と述べるにとどめた。


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2020年01月02日木曜日


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