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被災農地の復旧ままならず 丸森や角田の農家苦悩 作付け断念も

沢の増水で一部が大きく崩れ落ちた佐藤さんの水田=丸森町
ごみが流れ込んだ水田。伊藤さんが作付けに向け、片付けを進める=角田市

 台風19号豪雨から12日で3カ月となった。増水で農地が被災した宮城県丸森町や同県角田市の農家が、今年の営農を巡り苦悩を深めている。田畑を復旧できる見通しが立たず、作付けを断念した農家は多い。水田の整備に取り掛かったが、流れ込んだごみなどに作業を妨げられるケースも。阿武隈川流域の耕土は、増水の爪痕と闘う試練の年を迎えた。

 棚田が連なる山あいの丸森町大張地区。農業佐藤正敏さん(65)は、所有する水田約1.2ヘクタールの大半が被害を受けた。脇を流れる沢が氾濫し、水田の所々が大きく崩落した。残った部分には土砂が積もった。「土木業者に頼んで本格的に修復させなければ」と肩を落とす。
 農地復旧の補助制度はあるが、被災した水田での栽培を今年は諦めた。町内全域の被害規模を考え、町による現地調査などの手続きが遅くなると見込んだからだ。作付け準備の見通しは立てられない。「被害は大きく、調査の大変さは分かる。遅れは仕方ない」と、自分に言い聞かせる。
 町の農地被害額は約780カ所88億円。町中心部に近い平地の農地も一帯に土砂が堆積し、流木が散乱したままの状態が続いている。町は「どの場所は営農が可能か不可能か、どの時点で可能になるかを県と調べている段階」(復興推進室)と説明する。
 角田市内の農地では、約90カ所10億円の被害があった。収穫前の水田が冠水した農業伊藤稔さん(62)は、今年の作付けを予定する。だが、枯れたまま残る稲の中にはビニールやペットボトル、木材が散らばる。「こんな大量のごみ、どこから流れて来たんだ」と嘆く。
 ごみを取り除かないことには、昨年の稲の刈り取りすらできない。倒れた稲の下に紛れたごみを巻き込んでコンバインが故障したこともあった。
 ニンジンやブロッコリーの畑も冠水した。収穫できず「心が折れた」と明かす。気力を奮い起こし、昨年10月末にトマトのハウス栽培を始めたが、生育は芳しくないという。土が雨水を大量に含んだのが原因とみる。「今年は栽培のコントロールが難しい」とため息交じりに語った。
(角田支局・田村賢心)


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2020年01月12日日曜日


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