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行員よ「目利き力」を磨け 七十七銀、地元企業への出向拡大

東北電子工業の社員と工場内で打ち合わせをする赤間さん(右)=宮城県石巻市
高政の社員と商品について話す千葉さん(右)=宮城県女川町

◎現場で刺激 本業にプラス

 七十七銀行は、地元企業に行員を出向させ、現場を学んでもらう人材育成制度を拡大している。初めて派遣した昨年度に続き、本年度は製造と水産加工の2社で若手行員が畑違いの業務に奮闘する。銀行が企業の課題解決を共に担う「目利き力」を養うのが狙いだ。

 入行7年目の赤間圭さん(28)は昨年3月から、自動車関連部品などを製造する東北電子工業(石巻市)に出向。設計作業などを経て、10月からは関連会社で製造工程づくりに携わり、発注元や作業員との打ち合わせに奔走する。
 「『できないです』『やってもらわないと困ります』と本音をぶつけ合う、銀行員にはあまりできないやりとりに刺激を受けた」
 製造現場を知り、利益率を1%上げることの大変さも肌で感じた。出向は今年3月まで。赤間さんは「企業の特徴を理解し、どうすれば自社製品の開発や生産能力向上に道筋が付くのかまで考え、提案できる行員になりたい」と意気込む。
 同じく昨年3月から、かまぼこ製造の高政(宮城県女川町)に出向しているのは入行5年目の千葉啓太郎さん(26)。前任の渡波支店(石巻市)で取引先の9割を占める水産加工業者の厳しい現状に触れ、「好調な会社は何が違うのか知りたい」と思ったのがきっかけだった。
 工場ですり身やかまぼこの製造から出荷までの流れを学び、6月から営業で商談会や催事を駆け回った。11月以降はお歳暮販売の対応で多忙を極めた。
 高政は創業80年以上の老舗だが、かまぼこ作りは約25年と比較的歴史が浅い。「高政の味だけは忘れられないという声を多く聞いた。お客さんに商品の特徴を明確に伝えてきたのだと思う」と千葉さん。決算書の数字だけでは分からない部分を学ぶ日々が続く。

 人口減少と低金利により、預金と貸し出しの利ざやで稼ぐ銀行のビジネスモデルは崩れ、企業の幅広い相談に応えるコンサル機能の強化が求められている。
 水産加工のカネダイ(気仙沼市)に昨年度出向した行員は現在、営業渉外課で経営支援を担う。企業側も「企業と金融機関、自治体が支え合うことで地域は活性化する」(高政の高橋正寿監査役)と歓迎する。
 ただ、行内への浸透はいまひとつ。本年度の出向は2人以外に応募がなく、経験の共有もこれからだ。
 同行の奈良憲峰研修課長は「地域の役に立ちたいという行員は多いはず。積極的に応募を呼び掛け、さまざまな業界の潜在的課題を捉えられる人材を増やしたい」と力を込める。


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2020年01月08日水曜日


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