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膵臓がん転移促すタンパク質を特定 東北大グループ

 早期発見が難しく、転移しやすい膵臓(すいぞう)がんの転移を促すタンパク質を特定したと、東北大大学院医学系研究科の五十嵐和彦教授(生化学)、海野倫明教授(外科学)の研究グループが発表した。生存率が低迷する膵臓がんの新たな治療標的になり得るという。
 グループは、東北大病院で手術をした膵臓がん患者のうち、遺伝子の働きを調節する特定のタンパク質(転写因子BACH1)が多く発現したグループで生存期間が短い点に着目した。
 このタンパク質の働きを抑えたヒトの膵臓がん細胞をマウスに移植すると、肝臓などへの転移が抑えられた。一方、タンパク質を増加させた場合は転移に関わるがん細胞の運動機能が上昇した。
 がんは、複数の遺伝子変異の組み合わせで細胞の増殖機能が上昇して生じる。転移は細胞の接着力低下、運動機能上昇により、がん細胞が血管やリンパ管を伝ってほかの部位に向かって起きる。転移のシステムは遺伝子変異だけで説明できず、不明な点が多かった。
 膵臓がんは初期の自覚症状が乏しく進行が早い。診断時に肝臓や腹膜などに転移している場合が多く、5年生存率は9%程度で死者は年3万人を超える。
 五十嵐教授は「膵臓がん細胞が転移能力を獲得する仕組みの理解が進んだ。新たな治療戦略の開発につなげたい」と話した。


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2020年01月15日水曜日


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