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宮城・丸森の阿武隈ライン舟下り 冬の味「しし鍋」復活 被災の提供店再開に客笑顔

舟下りを楽しみながらしし鍋を囲む観光客

 昨年10月の台風19号豪雨の影響で、宮城県丸森町の「阿武隈ライン舟下り」で提供が休止されていたイノシシの肉を使った名物「しし鍋」が復活した。25日は町の冬の風物詩を待ちわびた観光客が船に乗り込み、こたつに入りながら料理と川下りを楽しんだ。
 しし鍋を提供するのは、同町千刈場の飲食店「いのしし料理 金八寿司」。砂沢(いさざわ)守さん(76)、秀子さん(73)夫妻が切り盛りする。1971年の開店で、約20年前から船にしし鍋を届けてきた。予約のある日は午前4時から作り始めるという。
 だが台風で店舗兼自宅が約1メートルの床上浸水被害に遭い、暮らしは一変した。夫妻は避難せず2階で生活しながら、親族やボランティアの力を借りて店内を片付けた。水に漬かった調理器具、配達に使う軽乗用車は処分した。
 必要な物を買い足し、守さんが開く詩吟教室の生徒らからも電化製品を寄贈してもらった。さらに白石市に住む中学1年の孫が被害の状況を見て「店を継ぎたい」と言ってくれたことも大きかった。多くの後押しを受け、店は今月4日に再開。しし鍋も11日には船へ配達できるようになった。
 25日の午後1時便には8人が乗船し、しし鍋を囲みながら流れる風景を楽しんだ。提供開始時期を問い合わせていたといういわき市の会社員臼井修さん(58)は「船で暖まりながらイノシシの肉を食べられるのは珍しく、乗ってみたかった。とてもおいしい」と笑顔を見せた。
 被災直後からイノシシ料理の復活を望む声が砂沢さん夫妻に寄せられ、店の復旧を第一に考えてきた。舟下りでのしし鍋は3月末まで提供する。守さんは「被災して料理を出せなくなったとき、しし鍋が多くの人に愛されてきたことに気付いた。これからも食で町おこしに貢献したい」と意気込む。
(栗原康太朗)


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2020年01月26日日曜日


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