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震災追悼式、継続か見直しか市町村も苦悩 参列者減・遺族代表の人選難航…

昨年3月11日に宮城県気仙沼市が開催した追悼式。参列者の減少などに直面している市町村も少なくない

 東日本大震災から10年となる2021年3月を最後に、政府主催の追悼式が取りやめとなる方針が明らかになった。「終えるわけにはいかない」。被災自治体の多くは式典を継続する意向だが、参列者の減少といった課題に直面している。

 「将来にわたって追悼式は続ける。市として追悼の気持ちを後世に向けて表していく」。気仙沼市は被災した自治体の責務として継続の決意を固める。

 とはいえ、厳しい現実もある。12年に約2800人だった参列者は昨年、約970人まで減少。復興基金を活用する予算の都合上、震災から11年の22年以降はより小さな会場での開催も視野に入れる。
 関連死を含む死者、行方不明者が3752人に上る最大被災地・石巻市も同じ悩みを抱える。昨年の参列者は12年(5560人)より6割少ない2159人。担当者は「規模は検討しなければならない」と話す。
 式典に遺族代表のあいさつを盛り込む自治体は、人選に苦労している。94人が死亡、2人が行方不明になっている宮城県七ケ浜町は、今年の遺族代表を町民に打診しているが断られ続けているという。「震災9年になり、人前で話してくれる遺族がいなくなった」と明かす。
 福島県富岡町も遺族の心情に配慮しながら依頼するが、「忘れたい記憶を思い出させるようなことになるのであれば、やり方を変えることが必要かもしれない」と複雑な心境だ。
 追悼式を既に取りやめた自治体もある。昨年、式典開催を見送り、献花台を設置した岩手県野田村は「遺族と話し合って決めた。追悼式で思い出したくない遺族もいる」と説明。同様に昨年取りやめた同県岩泉町も「一通りの復旧・復興ができ、遺族や町民にも理解してもらった」と言う。
 22年以降、政府方針と足並みをそろえる傾向が強まるのか。「やがてはその方向に進む」(相馬市)とみる自治体がある一方、「国がやめるからといって取りやめることはない」(宮城県女川町)との声もある。
 福島県内で最多の636人(関連死を除く)が犠牲になった南相馬市は遺族の意向を最優先にし、22年以降も継続する考えだ。「行政側で一方的に決める話ではない」と強調する。

 東京電力福島第1原発事故の影響で避難生活が続く福島県では町外避難者の対応も課題だ。浪江町は「町外参列者の利便性を考えれば平日より休日の方がいいのかもしれない」と対策を練る。避難指示解除が一部にとどまる大熊町は「町内にはまだ開催する会場もない。追悼式を終えるわけにはいかない」と強調する。


2020年01月26日日曜日


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