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救命の責務か、患者の尊厳か 仙台で全国救急隊員シンポ 心肺蘇生の不実施巡り討論

DNARへの対応を巡り、意見がぶつかったパネル討論

 全国救急隊員シンポジウム(仙台市消防局、救急振興財団主催)は31日、青葉区の仙台国際センターで19のセッションが行われた。心肺蘇生の不実施(DNAR)への対応をテーマにパネル討論もあり、救急隊員の責務と患者の尊厳を巡り、医師らの相反する意見がぶつかり合った。
 日本海総合病院(山形県酒田市)の医師緑川新一氏は、救命の責務が優先されると主張した。「酒田地区消防本部は救急車を要請された時点で(かかりつけ医の)DNAR指示は無効と判断する」と紹介。「119番は蘇生の意思表示と広報することが重要だ」と述べた。
 救命の可能性がない疾病による心肺停止なのか、患者と医師がどれだけ話し合っていたのか、現場で判断することの難しさを指摘。「患者の命を守らないという救急対応は容認できない」と強調した。
 これに対し、在宅医療が専門の医療法人社団「悠翔会」(東京)の医師佐々木淳氏は「末期がん患者や高齢者にとって、治療が必ずしも望ましいこととは限らない」と異論を唱えた。
 誤嚥(ごえん)性肺炎の治療を経ても入退院を繰り返し、生活の質が低下してしまった患者の例を挙げ「大事なのは患者や家族の幸せ。DNARを望む背景への理解が必要だ」と語った。
 東京消防庁は昨年12月、DNARを望む患者への対応で、救急隊員に心肺蘇生の中止を条件付きで認める指針を定めた。救急管理課主任の鈴木翔平氏は「患者の意思を尊重できるようになった。今のところトラブルはなく、今後は救急隊員の研修にDNAR対応を組み込みたい」と報告した。
 会場の救急関係者からは「対応に地域差が出ている。多くの救急隊員が悩んでいる」と切実な訴えがあり、国が統一的な指針を定めていないことに不満の声が漏れた。
 シンポは2日間の日程を終えて閉幕し、延べ約8000人が参加した。

[心肺蘇生の不実施(DNAR)]心肺停止状態の患者に蘇生処置をしないこと。あらかじめ患者や家族と話し合った医師が救急隊員に指示する。患者の尊厳を守るのが狙い。末期がんの場合など、蘇生処置をしても救命の可能性が極めて低い患者に限られる。


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2020年02月01日土曜日


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