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病院再編 「石巻・登米・気仙沼」「仙南」を国が支援

 厚生労働省が地域の病院機能の再編・統合を財政面などから後押しする「重点支援区域」に、東北では宮城県の「石巻・登米・気仙沼」「仙南」の2区域が選ばれた。国の財政や助言などの支援を受け、対象病院を抱える県北の登米市や仙南地域の市町は、機能再編や連携強化に向けた動きを本格化させる方針だ。

◎登米/急性期と回復期を分化

 2005年に9町が広域合併して誕生した登米市は各町にあった公立病院の統廃合が進まず、人口約7万8600に対して今も、登米市民(迫町、258床)豊里(豊里町、99床)米谷(東和町、90床)の3市立病院が存続する。
 厚労省が昨年9月、「再編・統合の議論が必要」として公表した全国424カの公的病院の中に豊里、米谷の両病院が入った。市は恒常的な赤字経営を改善するため「病院事業中長期計画」の大幅な見直しを図っている。
 3病院は車で20〜30分の距離にあり、それぞれ一般的な手術をする「急性期医療」に対応。同じ経営母体なのに競合状態にある上、医師や看護師ら貴重な医療人材が分散し、「非効率的」と指摘されてきた。
 市は登米市民に急性期医療を集約。豊里、米谷は、急性期を脱した患者が対象の「回復期・慢性期医療」を担う病院に機能を特化させるとともに、今後の人口減に対応し、登米市民を198床に、豊里は90床に削減する作業を進める。
 国の重点支援について市医療局の千葉勝範次長は「病院改革に着手しているさなかだけに、国から技術的、財政的支援があることはありがたい。どのようなメニューがあるのかを見極め、活用したい」と話す。
 熊谷盛広市長は3日にあった市議会本会議の施政方針演説で「ダウンサイジングや、豊里、米谷両病院の分院化も含め、抜本的な見直しの検討を行う」と表明した。

◎仙南/赤字深刻、病床削減へ

 仙南地域の急性期医療を中心的に担うみやぎ県南中核病院(宮城県大河原町、310床)と公立刈田総合病院(白石市、300床)。両病院の厳しい経営状況を背景に県と東北大は県南中核に急性期、刈田総合に回復期の機能を分化、集約する方針を打ち出す。
 車で約20分と近く、多くの診療科が重なる。県南中核を運営する病院企業団の下瀬川徹企業長は「両病院の急性期病床数は過剰状態で減らさざるを得ない」と機能分化の進展を望む。
 2018年度決算は7億9108万円の純損失を計上。実質的な収支は6年連続赤字だ。負債総額は約120億円に上る。企業団を構成する大河原町の斎清志町長は「債務負担を含め国の支援がなければ地方の医療圏は残せない。国の対応を注視したい」と話す。
 刈田総合は、白石市と蔵王、七ケ宿町による組合が設置。18年度決算は3市町からの前年度比約7億円の繰入金減額や患者数の減少が響き、病院事業は3年ぶりの赤字に。病床利用率は58.1%にとどまった。
 大橋洋一院長は「大幅な繰入金減額が病院経営に影響している。地域医療をどう守るかの議論が必要だ」と強調。管理者の山田裕一市長は「市財政を破綻させないため、減額はやむを得ない」と理解を求める。
 6日にあった県地域医療構想調整会議で、刈田総合を25年に199床に減らす方針が示された。伊藤貞嘉特別管理者は「地域で一定の役割を果たしながら、県南中核と連携する仕組みが必要。内部調整や住民説明をしっかり行いたい」と話した。

◎県/二次医療圏の完結目指す

 宮城県は、県内2区域が国の「重点支援」対象に選ばれたことを受けて、二次医療圏で治療を完結できる体制づくりを目指す。病院の機能分化を進め、医師を効率的に配置することで公立病院の収支改善を図るのが狙いだ。
 公立病院の厳しい経営の一因に、仙台医療圏への患者流出がある。県によると、2016年度に患者が居住医療圏外に入院した割合は、石巻・登米・気仙沼が25.7%、仙南が32.0%。地域の病床過剰状態は長年の課題だった。
 県は現在、二次医療圏ごとに地域医療構想調整会議を開き、病院や自治体と再編方針を協議している。団塊の世代が75歳以上となる25年までに、病院間の連携強化を進める考えだ。
 各病院は20年度以降、病床数を段階的に削減する。医師を派遣する東北大と調整し、21年度からは診療科の再編にも着手する。
 県医療政策課の遠藤圭医療政策専門監は「民間では担えない役割を強化し、専門性を高める。高齢化を見据えた在宅医療への対応も急務だ」と説明する。


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2020年02月09日日曜日


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