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太陽光売電収入で奨学金を初給付 女川のNPO 原発の町で利害超え

第1号の大六天発電所前に立つ松木さん(左)と高野さん=宮城県女川町高白浜

 宮城県女川町のNPO法人「おながわ・市民共同発電所」が太陽光発電の売電収入を原資にした奨学金の給付を始めた。町内には東北電力女川原発があり、町は半世紀近く原発と共存してきた。原発城下町での挑戦に町内外の300人近くが共鳴し、再生可能エネルギーと未来を担う若者に思いを託す。

 名称は「おひさま奨学金」。「町に降り注ぐ太陽の恵みを若い人たちに」との願いを込めた。今月初めて、町の奨学金の貸与を受ける大学生ら16人に1人2万円を届けた。
 「当初の思いをやっと形にすることができた」。NPO理事長の松木卓さん(81)は胸をなで下ろす。
 かつて町中心部でドラッグストアを経営し、東日本大震災で被災した。店舗は震災前に閉じていたが、津波をかぶった自分の土地を町が買い上げたことで手元に現金が残った。
 使い道を探っていた2016年ごろ、NPO理事で当時町議だった高野博さん(76)が再エネ発電導入を模索していた。「原発がある町だからこそ意味がある」。市民が主導する太陽光発電の事例の聞き取りを重ねた。
 旧知の仲だった2人は16年12月、仲間と共に売電収入を元手にした「子どもたちの奨学金制度を作ろう」とNPOを設立した。
 有志から出資や寄付を募る一方、町内の企業から約1300平方メートルの土地を無償で借り受けるなどして発電所の完成にこぎ着けた。これまでに費やした資金は約4000万円に上る。
 太陽光発電の実践は原発の存在意義そのものに触れる。町内に原発の利害関係者は多い。松木さんたちは当初、活動の広がりには限界があると思っていたが、法人の役員は現在7人。原発推進派も反対派も名前を連ね、党派を超えて前に進む体制ができた。
 松木さんは「それぞれに思いはあるのだろうが、取り組みをあえて反原発に結び付けなかった」と話し、「若い人たちに町への愛着を持ってもらうきっかけにしたい」と奨学金制度の持続に期待と決意を込めた。

[おながわ・市民共同発電所] 宮城県女川町内2カ所に発電設備がある。高白浜地区の大六天発電所(出力73.9キロワット)は2018年2月に売電を開始。浦宿浜地区の万石浦発電所(同90.7キロワット)は同10月に発電を始めた。年間400万円の収入を見込む。


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2020年02月18日火曜日


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