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「東北は日本酒の聖地」 中田英寿さん、4月にクラフト・サケ・ウイーク開催 輸出拡大へ流通の改善呼び掛け

東北の蔵元への期待を語る中田さん=1月16日、仙台市青葉区のウェスティンホテル仙台
昨年4月にあったイベントの様子=東京都港区

 サッカー元日本代表の中田英寿さん(43)は、日本の伝統的なものづくりや食産業の現場を回り、積極的な発信を続ける。中でも大きな関心を寄せるのが日本酒。東京都心で4月17〜29日の13日間にわたり、全国からのえりすぐりを1日10蔵ずつ提供する「クラフト・サケ・ウイーク」を開く。中田さんは1月、仙台市内で河北新報社の取材に応じ、東北の蔵元が持つ魅力と可能性について語った。
(聞き手は生活文化部・浅井哲朗)

 −2009年以降、蔵元で全国約200カ所以上、全体では1600カ所以上を訪れ、これはという一品を「にほんもの」として紹介している。

 「現役時代を海外で過ごし、引退後も海外を回る中で、日本を知らないことに気付かされた。日本の地域によって異なる、その土地の生活に結びついている文化を学びたいと思った」

 −日本酒に関するコンサルティング会社も経営しているが、日本酒に魅力を感じた理由は。

 「地元の食文化や自然環境などによって、多彩な日本酒が存在する。現場で勉強を重ねるうち、世界に向けた可能性と同時に、いろんな課題を感じた。日本食が海外に浸透する中で、その解決のために自分が何かできたら面白いなと」
 「一番の問題として、良質のお酒が、良い状態で消費者の口に入っていない。醸造酒である日本酒は温度変化に非常に弱い。海外の消費者に届くまでの物流、冷蔵管理の確立などに取り組んでいる」

 −東北の日本酒についての印象は。

 「すっきりした味わいの中にもほんのり甘みがある。クラフト・サケ・ウイークへの出品は毎回、全国の何百というお酒を利き酒して決めるが、蔵が定番化している西日本に対し、新たな発見があるのが東北だ」
 「それだけ良い蔵が多い東北は、日本酒の聖地だと思う。輸出拡大を目指す上で、東北エリア全体が流通環境の改革に手を取り合えば、今の2倍も3倍もおいしい状態で飲めるようになる」

 −震災被災地の現場で感じたことは。

 「ものづくりは自然と共にあり、いろんなことを受け入れながらも前に進む力があるから、良いものができ、人の強さを生んでいると思う。僕はそういう人たちが好きだ」

 −クラフト・サケ・ウイークは今年5年目を迎える。

 「日本食のバリエーションに対し、どういった日本酒が合うのかを提案するのが今回の一つのテーマ。単なるイベントに終わらせず、来場者が知らず知らずに勉強してしまうような場にする」

 −自身の旅の今後は。

「ものづくりの現場を回り、時間をかけて勉強したものを使ったり食べたりする生活は、とても楽しい。これはすごいと思ったものや人を、世界中の人とシェアし、喜んでもらいたい」

[クラフト・サケ・ウイーク]中田氏がプロデュースする日本酒の祭典。2016年から東京都港区の六本木ヒルズで開催している。全国の蔵元から1日10蔵ずつ出店し、一流レストランの食との競演を楽しむ。4年間の来場者は延べ60万人。18年には仙台市青葉区の勾当台公園市民広場でも5日間催され、延べ5万人を動員した。料金は昨年の場合、飲食に使うコイン11枚に酒器が付いて3500円。

[なかた・ひでとし]サッカーのワールドカップ(W杯)に3大会、オリンピックに2大会連続出場。Jリーグ、イタリア、英国のクラブで活躍し、2006年に29歳で引退後、世界を旅する。09〜15年に全都道府県を訪れた。山梨県出身。


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2020年02月05日水曜日


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