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外出自粛、催し中止でキャンセル増 岩手の観光業痛手「震災レベルの衝撃」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出の自粛や催しの相次ぐ中止が、東日本大震災の被災地に暗い影を落としている。震災発生から11日で9年。追悼行事などで多くの人々が被災地を訪れる時期だけに、岩手県沿岸の宿泊施設や飲食業者の戸惑いは大きい。

 大槌町の「三陸花ホテルはまぎく」は、安倍晋三首相が2月末に小中高校などの一斉休校を要請してからキャンセルが急増。6月まで向こう4カ月で4000人分の宿泊予約が取り消しになった。
 20日には昨年10月の台風19号で被災した三陸鉄道が、ようやく全線で運行を再開する。それだけに町観光交流協会長でもある千代川茂社長は「新型肺炎は観光業界にとって震災レベルの衝撃。県内で感染者が出たら観光業は成り立たなくなる」と危惧する。
 陸前高田市の中心市街地で被災店舗を再建した「鶴亀鮨(ずし)」も団体や個人の予約取り消しが相次ぐ。店主の阿部和明さん(66)は「海沿いに道の駅などがオープンした昨年9月以降は客足が減っていただけに、期待していたのだが…」と嘆く。
 「震災を忘れてほしくない」と被災地で取り組む関係者も落胆の色を隠せない。
 宮古市田老地区では1月、震災遺構「たろう観光ホテル」がエレベーターを設置して受け入れ態勢の充実を図ったばかりだ。宮古観光文化交流協会の山口惣一事務局長は「外出を控えるムードが続けば春以降、修学旅行などにも影響が出る」と早期終息を願う。
 「陸前高田被災地語り部くぎこ屋」(陸前高田市)は、春休み期間中の学生らの予約が全てなくなった。県震災津波伝承館で11日に予定した伝承活動も中止を決めた。
 代表の釘子(くぎこ)明さん(61)は「防災を訴えているのに、感染拡大の原因となってはいけない」とインターネットでの情報発信に専念。「自宅で過ごす時間が長くなったこの機会に、家族で避難場所や備蓄について話し合ってほしい」と呼び掛けている。


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2020年03月06日金曜日


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