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自慢の庭、再生諦めず手入れ 福島・大熊の植木職人男性「みんなが集まれる場に」

帰還困難区域にある自宅の庭で手入れをする村井さん=1月、福島県大熊町

 福島県大熊町の災害公営住宅に住む植木職人村井光さん(70)は、避難先の会津若松市から戻った昨年6月以降、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域になった同町の自宅へ庭木の手入れに通う。「避難指示が解除されたら、この庭をみんなが集まれる場にしたい」。木や草が伸び放題になった庭を、自身の腕で再生させている。
 1月下旬、車で5分の自宅に向かう村井さんは「この1年で立ち入りは35回目。もう常連なんだよ」と笑った。会津若松市からは約90キロ離れ、なかなか通えなかった。原発から約4キロ南西の自宅はJR大野駅に近いかつての町の中心部にあり、避難指示の解除は2年後の予定だ。
 約40年かけて造った自慢の庭は500平方メートルほどの広さ。ウメやスモモ、ユズなどを植えているが、事故前に人の背丈ほどだった木々は町へ戻ると3、4メートルあった。日陰が多く、うっそうとした庭に一時は「苦労が水の泡になった」と落ち込んだが、すぐ前を向いた。「町は東電のおかげで発展した。恨んでばかりでは自分が惨めになる」
 手入れを終えた庭には、明るい日差しが戻った。腰の高さほどに伐採された木々は、早ければ3年ほどで再び花を咲かせる。「除染が終われば芝生を植えて、花壇も作りたい」。かつて町で居酒屋も経営していた村井さんは「町民や仕事帰りの東電の人が、明るい時間から酒を飲める庭にしてもいいな」と笑った。


2020年03月06日金曜日


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