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要支援者名簿の提供を原則化 宮城・七ヶ浜町条例、同意率96.1%に

 避難行動要支援者名簿は、住民の共助を促す基本情報だ。民生委員ら支援関係者への提供を進め、有効に活用するためには何が必要か。人口約1万9000の宮城県七ケ浜町の取り組みが注目を集めている。
 町は2018年6月、明確に拒否する人を除き、名簿提供を原則とする条例を県内で初めて制定した。27.7%だった提供への同意率は、96.1%(19年11月末)にまで高まった。
 地域福祉課の遠藤裕一課長は「名簿の提供が不十分では避難支援が必要な人が周知されず、役に立たない」と説明。高齢者の定義も65歳以上から75歳以上にし、2500人以上いた対象者を1449人まで絞り込んで本当に必要な人に支援が届くよう配慮した。
 町は同時に「個別支援方針」を策定し、自助を重視する姿勢を鮮明にした。多賀城、仙台両市に近い町は典型的なベッドタウン。昼間人口が少なく、要支援者の情報共有を進めても共助の支援の手が限られる恐れがある。
 方針は、支援関係者に向けて「要支援者を確実に避難させ、人命や身の安全確保を行う義務があることを定めたものではない」と明記した。町民の自助を大前提としており、要支援者の中でも自力避難が困難な人に支援を集中させる狙いがある。支援関係者も自らの安全を最優先でき、震災で多発した「共倒れ」を防ぐ効果が期待できる。
 18年7月の西日本豪雨を受けて国の中央防災会議の作業部会は、報告書で公助の限界を改めて認めた。行政主導から住民主体の防災への転換が図られる中、市町村は要支援者名簿を作って終わりにせず、最大限生かす方策を真剣に検討する段階に来ている。
 遠藤課長は「避難支援に限界があることを要支援者、地域、行政が認識し、一体となって努力する必要がある。どういう判断や行動をすれば身を守れるか、自ら考える姿勢が重要だと訴え続けていく」と話す。
(高木大毅)


2020年03月07日土曜日


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