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21年度の自主財源「減少」見込み7割、復興五輪の「理念明確」4割止まり/被災3県42首長アンケート

◎自主財源/21年度の「減少」見込み7割 強い懸念

 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の42市町村のうち、国の「復興・創生期間」終了後の2021年度、市町村税収などの自主財源が現状より「減る」と見込む首長が約7割(29人)に上ることが、首長アンケートで分かった。
 回答はグラフの通り。震災後、人口が増加した宮城県利府町と名取市は「やや増加する」。仙台市など8人(19%)が「横ばい」、石巻市など22人(52%)が「やや減少する」と答えた。宮城県南三陸町や福島県双葉町、岩手県田野畑村など人口減が深刻な被災地の7人(17%)が「大幅に減る」とした。
 財政の見通しを懸念する声も相次いだ。「やや減少する」と回答した陸前高田市の戸羽太市長は「人口減と建設事業の激減が予想され、税収減は避けられない」との認識を示した。
 被災自治体の財政は、復興需要に伴う法人税収の増加に支えられてきた面もある。岩手県洋野町の水上信宏町長は「横ばい」と回答しつつ、三陸沿岸道建設工事の完了を念頭に置き「法人税が21年度にピークを迎え、その後、大幅減が見込まれる」と厳しく評価した。
 「大幅減」と回答した釜石市の野田武則市長は「復興に伴い整備した施設の維持管理費が増大し、経常経費の圧迫が懸念される」との認識を示した。
 同じく「大幅減」とした福島県双葉町の伊沢史朗町長は「東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く特殊事業を抱えており、復興・創生期間後に一律に支援が縮小されないか懸念がある」と訴えた。

◎復興五輪/「理念明確」は4割止まり、情報発信に不満

 アンケートで、東京五輪・パラリンピックが掲げる「復興五輪」の理念が「明確である」と評価する首長は16人(38%)にとどまった。「どちらともいえない」との回答は25人(60%)と半数以上を占め、「五輪と被災地を結ぶ取り組みは不十分」などと注文も相次いだ。
 「『復興五輪』の理念は明確か」「東京五輪は被災地復興に役立つか」という二つの問いに対する回答はグラフの通り。復興に「役立つ」は前年と同じく約6割を占めたものの、理念が「明確」との回答は前年比3人(7ポイント)増で4割を下回った。
 理念が「明確」と回答した首長の県別の内訳は岩手と宮城が各4人、福島が8人。福島県ではサッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)が26日に始まる聖火リレーの出発地となり、福島市で野球・ソフトボールの一部試合が開催されることも評価された。
 広野町の遠藤智町長は「聖火リレーで被災地の現状が世界に発信される」と回答。いわき市の清水敏男市長も「県内での競技開催など、復興五輪の理念を基に取り組みが進められている」とコメントした。
 「どちらともいえない」は岩手8人、宮城10人、福島7人。「復興状況を世界に発信できる機会が創出された」(宮城県女川町の須田善明町長)など前向きな回答がある一方、他の首長からは「被災3県での競技が少ない」「具体的な取り組みやPRが不足している」と厳しい声も上がった。
 福島県浪江町の吉田数博町長は、理念を評価しつつ「復興した部分の発信に偏っており、まだこれからの部分を含め被災地の様子を正確に発信してほしい」と国などに求めた。
 大会を機に住民と海外選手らが交流するホストタウン事業を予定する被災自治体からも、慎重な意見が寄せられた。「復興ありがとうホストタウン」として台湾やサウジアラビアと交流する岩手県大槌町の平野公三町長は「復旧復興をアピールできる半面、人的負担や財政負担も生じている」と指摘した。

■交流事業に課題民間協力が鍵/河村和徳・東北大大学院情報科学研究科准教授(政治学)の話

 東日本大震災の被災地の首長の間で、東京五輪が掲げる「復興五輪」の理念の受け止め方には温度差がある。一部競技が開催される地域からの距離や、地域住民と各国の選手らが交流する「ホストタウン」に手を挙げているかなどが反映されている。
 ホストタウン事業は、交流の成果を地域のレガシー(遺産)にできるかどうかが課題だ。小規模な自治体は人材面や財政面の制約もあるだろう。単発の取り組みで終わらないよう、官主導ではなく、いかに民間と協力できるかが鍵となる。


2020年03月03日火曜日


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