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3県災害住宅「入居者分からぬ」7割 互助関係構築なお課題/岩手県立大教授ら調査

 東日本大震災で岩手、宮城、福島の3県に整備した集合型災害公営住宅で暮らす被災者の7割が「誰が入居者か分からない」と困惑していることが4日、3県の研究者の合同調査で分かった。盛岡市で会見した研究グループは「互助の関係を築く難しさが続いている」と分析している。

 集合住宅の実情を巡る調査結果はグラフの通り。
 設問の「誰が入居者か分からない」について、「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた被災者は合わせて69.2%。入居年数による違いはなかった。「困り事を相談する相手がいない」との回答も半数近い47.0%に上った。
 研究グループ代表で岩手県立大(滝沢市)の吉野英岐教授(地域社会学)は、隣近所や集落が互いに知り合いで濃厚な交流のあった震災前に比べ、集合住宅では「月日を経ても知らない人が周囲にいることが、不安を招いている」と指摘した。
 集合住宅での近所付き合いについては「交流はない」「顔を知っている程度」との回答が37.3%。各種行事の参加状況は「あまり参加していない」「まったく参加していない」が61.6%だった。
 尚絅学院大(名取市)の高木竜輔准教授(地域社会学)は「コミュニティーづくりの必要性を感じない人も多い」と説明。防災訓練など助け合いが必要な場面を積極的につくることでコミュニティーを形成する工夫を提唱した。
 被災者の生活復興感に関する問いには、「回復」との回答が岩手、宮城で7割だったのに対し、東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島は4割だった。福島大(福島市)の西田奈保子准教授(行政学)は「元の自治体に戻れない実情や被災体験の違いが影響している」と分析した。
 調査は2019年11月以降に3県12市の災害公営住宅6454世帯へ調査票を配布。2369世帯(36.7%)から回答を得た。


2020年03月05日木曜日


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