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災害公営住宅 神戸では超高齢化進み自治会機能せず 社会との接点喪失

使われなくなった御影石第2住宅の集会所。井垣さんは「もったいないけど仕方がない」と話す=2月19日、神戸市

 阪神大震災から25年たった神戸市の災害公営住宅では超高齢化が進み、住民を支える態勢も限界に達している。
 集会所のカーテンは閉め切られ、げた箱には約40足の色あせた花柄のスリッパが並ぶ。
 神戸市東灘区の災害公営住宅「御影石第2住宅」(36戸)。自治会副会長の井垣利男さん(83)が「集会所を使うのは年1回、役員を決める時だけ」と嘆く。
 兵庫県によると、災害公営住宅の高齢化率は県平均で53.7%(昨年11月現在)。御影石第2住宅の高齢化率は79.5%に上る。
 自治会の活動実態はほとんどなく、役員のなり手不足で活動を停止した時期もあった。住民総出で始めた敷地の清掃は外部に委託し、関係はさらに希薄になった。
 自治会長は昨年秋に倒れ、入院生活が続く。井垣さんは「みんな年を取った。足腰が弱かったり目や耳が悪かったりで外に出ない」と肩を落とす。
 神戸市は大規模な災害公営住宅に見守りの拠点「あんしんすこやかルーム」を設置。見守り推進員が常駐または巡回しながら住民の生活を気に掛ける。
 「HAT神戸脇の浜」は18棟(1660戸)のマンションが立ち並ぶ災害公営住宅。見守り推進員の金沢章子さんは、8棟(853戸)を1人で回る。自治会がなく、困り事や相談は金沢さんに舞い込む。
 「夜に出歩いて様子がおかしい」。約4年前、1人暮らしの高齢女性に関する情報が入った。何度も訪問すると、見切り品の総菜を求め、片道約2時間かけてデパートまで歩いていたのが分かった。
 認知症の症状もあったが、誰も気付かなかった。金沢さんは「無年金でぎりぎりの生活。孤独な人は助けを求めず、頼り方も分からない人が多い」と訴える。
 見守り推進員制度がいつまで続くかも不透明だ。復興基金の財源が枯渇したため、2018年度以降は市と県が事業費(19年度予算約1億7000万円)を捻出する。
 金沢さんは「家族の死や退職などで社会との接点を失う人が湧くように増えている。住民が自力で顔見知りを増やせるようなサポートがますます必要だ」と危機感を募らせる。


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2020年03月04日水曜日


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