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石像が伝える津波の脅威 茨城で被災の12体、秋田・横手に設置

「復興の丘」で東日本大震災の被害の大きさを伝える石像と佐々木さん=横手市

 秋田県横手市の山あいの丘に、東日本大震災の津波で壊れた石像が並んでいる。茨城県で被災した大きさがまちまちの12体だが、視線は全て奥羽山脈を越え太平洋を向く。同市の佐々木紀三郎さん(76)が入手し「直接、被災地を見舞えない人のために」と設置した。「復興の丘」と名付けた地で、校外学習の小中学生らに被害の大きさを伝える。
 片腕を失った高さ約5メートルの観音像、首が折れ修復の跡が残る地蔵…。石像には、穏やかな表情とは反対に生々しい傷痕が目立つ。石をも砕く津波の脅威を伝えようと、あえて一部は修復していない。秋田の内陸に暮らす人々は「恐ろしさを間接的に知る」という。
 半世紀前に病院職員として訪れて以来、岩手県陸前高田市に心を寄せており、津波を中心とする震災被害に驚愕(きょうがく)。2015年、津波に遭った茨城県沿岸部の石問屋から譲り受けたという石像を、秋田市の石材店で見つけ、迷わず買い取った。
 雪深い冬を除き、里山散策などで近隣の小中学生が佐々木さんの山を訪れる。復興の丘も案内する中で、被害状況にショックを受ける子どもも多いという。
 「観音様を通じて、祈りが届くように」。顔向きをそろえた理由だ。足を運ぶ地元住民の姿は、設置当初より減りつつある。「それも仕方ないことかな」と感じるが、それでも度々丘に登り、かの地に思いを巡らす。「復興には相当の時間がかかるでしょう。焦らずゆっくり、頑張って」


2020年03月09日月曜日


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