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「小高に活気を」おかみ奔走 南相馬「双葉屋旅館」小林さん 交流拠点、空き地菜園…アイデア続々

手作りの小物などを販売する店で、近隣住民と話す小林さん(左)=南相馬市小高区

 東京電力福島第1原発事故を受け一時、全域避難指示が出た福島県南相馬市小高区にある老舗「双葉屋旅館」のおかみ、小林友子さん(67)は、町を活気づけるアイデアを続々と出し、実現させている。交流拠点づくりや空き地での野菜栽培。今年は町に馬車を走らせ、人を呼び込みたい考えだ。
 旅館があるJR小高駅前の商店街は、震災前はスーパーや飲食店、医院が並ぶにぎやかな通りだったが、今は空き家が目立ち人通りもまばらだ。
 原発事故を受け、小林さんは「古里が震災前と同じ姿に戻ることはない。自分たちで魅力ある地域にして人を引きつけよう」と決意。避難指示解除前の2015年には、一時帰宅者ら向けに手作りの小物や日用品を販売する店を開き、交流拠点として重宝がられた。
 各地での避難生活を経て、小高区の避難指示が解除された16年7月に旅館を再開した。かつての宿泊客は近くの工場に出張する会社員などだったが、今は復興関連事業の関係者がほとんどだ。
 現在は原発に反対の立場の小林さんだが、以前は深くは考えていなかったと告白する。自らの被災を受け、1986年に事故が起きたチェルノブイリ原発を視察するなど積極的に向き合うようになった。
 18年には東大生らと連携し空き地で小高区産の野菜を栽培する「まちなか菜園事業」を始めた。今年は小高区で飼育する馬を調教し、町中で馬車を走らせる計画を進める。「人が集って、笑顔で普通に暮らせる場所に戻ることが本当の復興。震災で多くの人が亡くなった。生かされた私たちが頑張るしかない」と力を込めた。


2020年03月09日月曜日


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