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海外の学生を原発被災地へ 福島大のカナダ人講師が訪問事業14回 風評払拭狙う

海外の学生を連れ、福島第1原発事故の被災地を巡るツアーを続けるマクマイケルさん

 福島大のカナダ人講師ウィリアム・マクマイケルさん(37)が、海外の学生を連れ、東京電力福島第1原発事故の被災地を巡るツアーを続けている。海外での風評被害払拭(ふっしょく)が狙いで、これまでに8カ国の大学から計約200人を招いた。きっかけは「大好きな福島のひどい言われ方が許せなかった」ことだという。
 福島には人が住めない、町は原爆投下後のようだ−。事故後にマクマイケルさんが見た海外のニュースサイトなどの記述だ。被害を誇張するデマがあふれていた。
 「福島は死んだ街じゃない。前を向き、進んでいることを伝えたい」。自分の目で見てもらおうと「福島アンバサダーズ(大使)プログラム」を発足させ、2011年秋に福島大と交流のあった米国のミドルテネシー州立大に声を掛けた。
 しかし、米国では放射性物質による被害を懸念する人たちから猛烈な批判を浴びた。仮設住宅を訪ねたり、風評被害に苦しむ農家の話を聞いたりする予定だったが、州立大に中傷の手紙も届いた。「学生に廃炉作業をさせる気か」などと見当違いの指摘すらあったという。
 そうした中でも州立大側は「こういう状況だからこそやるべきだ」として12年6月、予定通り学生を派遣した。学生からは「状況を誤解していた」「人々が前を向いていたのが印象的だった」などプログラムに好意的な意見が相次いだ。
 昨年までで14回開催。今では募集に漏れても1年待って参加する学生がいるほど人気のプログラムに育った。
 自国へ戻って福島の今を紹介するイベントを開いた学生もおり、文字通り「大使」としての役割も担っている。狙い通りの結果に「(風評被害の払拭を)自分一人でするより、担い手を育てた方が効果的ですから」と笑った。


2020年03月09日月曜日


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