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津波で唯一残った一本松 復興工事にも耐え 教訓発信へ遺構内に移植 山元・旧中浜小

移植されたクロマツに土をかぶせる井上さん(左)と宮部さん
クレーン車で移植される津波に耐えたクロマツ

 東日本大震災の遺構として7月に公開が予定される宮城県山元町の旧中浜小で、津波に耐えて1本だけ残ったクロマツが9日、遺構敷地内に移植された。震災前の風景を伝える生命力あふれる一本松として、旧校舎と共に教訓を発信する。

 クロマツは旧中浜小の北西端にあり、高さ約11メートル、樹齢約80年。クレーン車でつり上げ、約15メートル南東に移された。
 当初、県道相馬亘理線のかさ上げ工事の区域にかかり、伐採される計画だった。震災時に同校校長だった白石市の井上剛さん(62)が保存を求め、町教委が工事を実施する県側と協議して移植が実現。昨年の梅雨入り前に根回し作業を行い、水分や栄養剤の投与を続けてきた。
 県道沿いには約15本のクロマツが並んでいたが、津波や塩害によって1本を残して失われたという。
 作業を見守った井上さんは「隣にあった高圧受電設備が倒されるほど引き波が強かったが、よく耐えた。移植がかない、うれしい」と語った。
 同校の養護教諭だった山元町の宮部由美子さん(69)も立ち会い、「中浜小にも『奇跡の一本松』があった。児童を守った校舎と共に、これからも元気に育ってほしい」と願った。
 校舎は海岸から約400メートルにあり、約12メートルの津波に襲われた。児童や教職員、住民ら計90人が校舎屋上の屋根裏倉庫に避難し、全員が助かった。


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2020年03月10日火曜日


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