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募る思い祈りに重ねて 仙台で遺族ら追悼

父次郎さんの墓前で手を合わせる正夫さん(左)と妻の栄子さん=11日午前8時30分ごろ、仙台市宮城野区の誓渡寺

 新型コロナウイルス感染症の拡大で追悼式が中止・縮小される中、東日本大震災は11日、発生から9年を迎えた。仙台市内では遺族らが墓前や献花台を訪れ、かけがえのない家族や友人らを思い花を手向けた。
 宮城野区の下山正夫さん(75)、栄子さん(75)夫妻は午前8時半ごろ、同区の誓渡寺を訪れ、正夫さんの父次郎さん=当時(91)=の墓前で手を合わせた。
 震災当時、正夫さんは地元の町内会役員だった。住民に避難を呼び掛けようと自宅を出る前、次郎さんに「逃げろ、逃げないと死ぬぞ」と伝えたのが最後になった。同区中野の自宅は流失し、次郎さんは約1週間後に自宅周辺で遺体で見つかった。
 正夫さんは「90歳を過ぎても元気に近所に出掛けていた。一緒に避難していれば、という思いが今もある」と悔恨の思いを吐露。栄子さんは「防災集団移転団地に移って4年たち、生活は落ち着いてきた。ずっと見守ってください、という思いを伝えた」と語った。
 被災した自宅周辺は土地区画整理が行われ、暮らしの面影や津波の痕跡はほぼなくなった。下山さん夫妻は「年々、風化が進んでいる。教訓を語り継いでいきたい」と墓前で改めて誓った。
 青葉区の会社員伊藤典博さん(40)は午前9時すぎ、出勤前に1人で県庁を訪れて献花した。静岡市出身で、仙台に転勤して3年後に震災に遭った。
 伊藤さんは「当時、台原森林公園に水をもらいに行った記憶は今も鮮明に覚えている」と振り返る。震災後、仙台で結婚し子どもが生まれた。「3歳になった長女に震災をしっかりと伝えていきたい」と話した。


2020年03月11日水曜日


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