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被災3県知事に聞く 岩手・達増拓也氏 五輪で観光振興期待

「復興五輪」への期待を語る達増知事

 東日本大震災の発生から間もなく9年を迎える。災害公営住宅や復興道路などの整備が進む一方、地域コミュニティーの再構築や東京電力福島第1原発事故による復興の遅れなど課題は多い。岩手、宮城、福島3県の知事に復興の現状や展望を聞いた。


 −復興の進度と課題は何か。
 「復興道路の三陸沿岸道は2020年度中に全面開通の見通しで、県民の大きな希望だ。被災地の新たな市街地には震災前になかった商業施設も次々完成した。陸前高田市にできた県の震災津波伝承館では教訓を伝える活動が広く行われている」
 「被災者の心のケア、災害公営住宅や新住宅地では引き続きコミュニティー形成を支援する。漁業はサケなど主要魚種の漁獲減少が響き、販路回復が課題。人口減少に伴う地域経済への影響にも正面から取り組んでいきたい」

 −開幕が迫る「復興五輪」への期待は。
 「釜石市が会場の一つとなった昨年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会と同様の効果を目指す。W杯では被災者が震災の状況を世界に発信し、県全体で経済効果もあった」
 「県沿岸部を通る聖火リレーに世界の関心が集まる。発信の機会として大事だ。事前合宿や関連イベントで多くの人が岩手に滞在し、観光振興につながることを期待する」

 −震災後も16年の台風10号、19年の台風19号と災害が相次いでいる。災害対応の制度的課題は何か。
 「誰一人として取り残さない、という理念はどの災害にも共通する。農林水産や商工業向け支援は、国の制度の違いを県単独事業でカバーすることができた」
 「一方で家屋の再建は、現在の国の基準では被災者ニーズに届かない面がある。生活再建支援の範囲拡大を国に求めていかなければならない」

 −国の財源で震災復興を進めた結果、国依存の行財政運営が強まり、地方分権の意識は希薄になったか。
 「震災級の災害では国債を発行できる国が高い財源調達能力を発揮することが合理的だ。三陸道など国民全体の利益になるインフラ整備は国が積極的に乗り出す分野だ。新しいまちづくりの財源は国が拠出したが、知恵を絞った地方も主体性を発揮できた」
 「岩手は児童養護施設の保育士配置基準の見直しを国に求めて実現させた。分権推進の役割をしっかり果たしている」
(聞き手は盛岡総局・片桐大介)


2020年03月09日月曜日


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