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被災3県知事に聞く 福島・内堀雅雄氏 復興拠点整備 着実に

福島復興の課題と展望を語る内堀知事

 東日本大震災の発生から間もなく9年を迎える。災害公営住宅や復興道路などの整備が進む一方、地域コミュニティーの再構築や東京電力福島第1原発事故による復興の遅れなど課題は多い。岩手、宮城、福島3県の知事に復興の現状や展望を聞いた。

 −東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年。現状の認識は。
 「復興は着実に進む一方、いまだに4万人を超える人々が避難生活を続けている。避難地域の再生、被災者の生活再建、廃炉・汚染水対策、風評・風化など困難な課題が山積している」
 「今後も生活再建や事業再開をきめ細かく支援する。福島イノベーション・コースト構想などの施策で浜通りを活性化し、活力を全県へ波及させる。風評払拭(ふっしょく)に特効薬はなく、丁寧で正確な情報発信に取り組む」

 −県内では被災地を中心に人口減少が進んでいる。
 「昨年12月に更新した人口ビジョンで2040年度の人口目標を162万から153万に変更した。人口減少の克服に向けて安定した雇用の場づくり、安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進める」
 「避難指示が解除された後に住民帰還が進む地域がある一方、思うように進まない地域もある。将来にわたり活力ある福島を築くため、交流人口と関係人口の拡大や移住の促進を通じ、さまざまな人を呼び込む」

 −帰還困難区域の避難指示解除に対する考え方は。
 「まずは特定復興再生拠点区域(復興拠点)の整備を国や地元自治体と連携して着実に進める。国は将来的に全ての帰還困難区域の避難指示を解除するとしており、具体的な方針を早急に示すよう強く要望する」

 −復興五輪と銘打たれた東京五輪の開催が近づく。
 「五輪には二つの効果がある。一つ目は風評払拭と風化防止で、復興に向けて挑戦し続ける福島のいまを国内外に発信する。二つ目は子どもの成長で、トップアスリートとの交流は未来を担う子どもたちにとって貴重な機会になるだろう」

 −21年度から5年間の復興予算規模は1兆円台半ばと見込まれている。
 「復興期間後もさまざまな財政需要があるということを国と丁寧に議論する。福島の復興は残念ながら10年では終わらない。有事が続く現状を伝え、相互理解を得ながら財源をつくり上げるのは広域自治体である県の大切な役割だ」

 −復興予算を背景に中央集権化が進行し、地方自治や地方分権の意識が薄れたとの指摘にどう答えるか。
 「福島の復興は地域の実情を踏まえた迅速な対応が必要。要望を国に伝え、財源の確保、制度の構築に努めてきた。引き続き県民や市町村の視点に立ち、分権型社会の実現を目指す」
(聞き手は福島総局・関川洋平)


2020年03月11日水曜日


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